自身の「好き」を見つける方法
自分の絵が嫌いで仕方がない。絵を描いても苦しいだけで何一つ楽しくない。
そういった時期が僕にもありました。期間でいうと18歳の頃から28歳までの10年ほどでしょうか。
その後どうやって脱却出来たのか、今後また同じ症状が出ないとは限らないので、その時のために向けて対処法を記載していこうと思った次第です。
もし、現在進行形で苦しんでいる方がおられましたら、一度参考にしてみてください。
1.まずは、自身の「好きな要素」を認識する。
何かを描こうと思い至る前に、自分が一体何が好きで、どういう事を表現したいのか、どういった方向性で進めたいのか、ここが不明慮だと手が止まります。
自分の想いや感情を解放するために絵という手段を用いているわけですから、そもそも、その原動力となるものが無いと描けないのは当然と言えるでしょう。
僕自身、苦しみ続けた10年間は、ずっと和風の世界観が好きと思い込んでいましたが、今回記述する対策を起こった結果、実は耳の長い金髪エルフが出てくる中世ファンタジーが好きだと知りました。
ツリ目のツインテールやツーサイドアップ美少女が好きと気付いたのも、この時です。
自身の好きが分かると、絵で表現したくなってくるものです。
これが原動力となるわけですね。
では、どうやってそれを見つけていくのか。
至って簡単です。
たくさん絵を保存して分類わけをする、です。
2.絵を分類にわける。
twitter、pixiv、絵がたくさん流れてくるSNSであれば何だってかまいません。
まずは、目に入った瞬間、これいいと衝動的にブックマークやいいねを押した絵を、片っ端から保存していきましょう。
ただし、見る時間は1秒です。長くても3秒。要するに本能に訴えかけてくる絵を片っ端から保存するわけです。
この際、きちんとフォルダを用意してそこへ入れるようにしてください。
何故長くて3秒なのかは後述しますので、今はとにかくザっと流し見をして、本能的に良いと思った物を保存していきましょう。
ちょっとしたことでも構いません。「いいかも?」程度でも構いませんので、少しでも何かを感じたのであれば保存してください。
大体100枚ほど保存し終えたら、フォルダの中にある絵を改めて眺め、その中から特に良いと思う絵を新しくフォルダを作ってそこへ入れていきます。
二度見る事で一度見た時の衝動が少し緩和されますが、それでもなお良い!という絵を選ぶわけですね。
選び終えたら、その絵から、どの部分が良いと感じたのかをフォルダを作り分類分けしていきます。
目の形、色味、塗り方、髪型、体型、色んな物があると思います。
このキャラクターのシルエットがいいなと感じたなら、シルエット、という項目に入れましょう。
二つ以上良い要素があるなら、その絵をコピーして各フォルダに入れていきます。
分類分けが終わったら、分類ごとのフォルダに移動して、それぞれの絵の共通点を探します。
その共通点が、あなた自身の根底にある「好き」の部分になります。
絵が多ければ多いほど、その中から厳選して掘り出した「好き」はより深く濃い部分になります。
ですので、直感で良いと思った絵は日頃からフォルダに入れておくと、ふとした時に助けになりますので、試してみてください。
3.人は自分自身を平気で騙す
さて、絵を見る時、なぜ長くて3秒以内としたのか、という点の解説といきましょう。
恐ろしい事に、人は自分自身にも無意識に嘘をつきます。
自分の好きが分からない人ほど、早く答えを見つけ出して解放されようと、これが好きなはずと自分に思い込ませる癖があります。
人間は基本的に辛い事から逃げたくなる習性があるので、これは当たり前の事なのです。
例えば、周りで流行っていたり多くの人に評価されているからこれは良い物だと決めつけ、それを好きと勘違いしてしまう人がいるわけですね。
長く同じ絵を見つめれば見つめるほど、ここが好きかも、と自分自身を騙してしまう機会を与える事になります。
なので、その隙間を与えないために、長くても3秒でとどめるわけです。
また、たくさん閲覧数やいいねの数が多いから、といった外部要因でも簡単に騙されてしまうので、必ず絵だけを見て判断するようにしましょう。
他人の評価と自身の好き嫌いは別の話ですからね。
微妙だなと思って流したものの、やっぱり気になってもう一度見てしまう、なんてこともあります。
これは大チャンスです。琴線に触れる、という奴ですね。
こういった場合は、しっかりと保存し、どこが気にあるのかを見極めましょう。
初めの内は、なかなか上手くいかないものです。
足元すら見えづらい濃霧の中、手さぐりで探している状態に近いので
少しずつ慣らしていけばいいと思います。
例えば、絵を選ぶ際に、今日はキャラクターの目だけを意識して保存していこう、という風に条件を絞って保存していくのも効果的です。
自身の好きが分からなくなると、迷い、それが絵にも表れます。
僕も未だに18歳~28歳の頃の絵を見ると、当時の苦しみがフラッシュバックして気分が非常に落ち込みます。
下手をすると一日絵を描けなくなるレベルにまで落ち込むので、基本的には見ないようにしています。
それほど精神に異常をきたすレベルの事なので、焦らずゆっくりと、少しずつ進んでいきましょう。
誰の言葉だったか詳細は忘れてしまいましたが、人は子供の頃に得た経験で好きが決まるそうです。
根付く、という言葉が正しいのかもしれません。
子供の頃というのは、まだ真っ白な状態で色んな作品をストレートに浴びる事が出来る期間なので、そこで感じた事、心動かされた事が、自身の基礎になるのでしょう。
しかし、大人になる過程で様々な経験を得ていくにつれ、自身の好きが埋もれ見えなくなり忘れてしまいます。
そういう時は、過去に好きだった作品に立ち返って、何を魅力的に感じてたのか、その原因を探ってみると、心に深く根差した「好き」を掘り返せるきっかけになるやもしれません。
