アルマジロ怪人とイカ怪人

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アルマジロ怪人は唐突に目覚めた、それと同時に自身が爆発して破壊されたのを思い出す。

咄嗟に自分の体が無事であるかを確かめようとするが首から下…というより目しか動かせないことに気づく。

状況が呑み込めないまま周囲を見渡すとそこは何かの研究室の様だった。

何台ものコンピューターが並んでいてモニターがたくさんある。


コンピューター達の奥のガラスに自身の姿が反射して見える。

首から下がない。

自分の首から沢山のケーブルが這っていて…それを目で追っていくと人と同じぐらいの大きさのコンピューターにつながっている。

その傍らに白衣の女性が立って何かの操作を行っている…。


白衣の女性と目が合う。


 「おはよう、アル…気分はどう?」


「アル…って?」


  「君だよ、アルってあだ名でどうかな?アルマジロなんでしょ?」

アルマジロ怪人…アルに白衣の女性は微笑む


「…私は…破壊されたはずじゃ……?ここは…?」

  「頭が無事だったからね…解析の為に…その…」


白衣の女性はどこか申し訳なさそうにアルの頬を優しく撫でる。

「…」

白衣の女性の手が温かい。体が機械でできているヒーローや怪人たちと違って初めて触れる感覚だった。


  「痛いとかない?できるだけその…」

「…もうちょっと…」

そっと手を放す白衣の女性をどこか縋るようにじっと見てアルは言う。


「もうちょっと触ってて…」

  「わかった。」

白衣の女性はアルの頬を再び撫で始める。


と、同時に白衣の女性の視界の外のモニタ-に一瞬だがハッキングの警告が出た。

そして解析対象…アルが基地のサーバーと接続されたことを示した。

白衣の女性はそのことに気が付かない。


「私って…解析後どうなるの…?」

  「そう…ねぇ…害がないなら身体を与えてあげたいけど…」


アルはヒーローの基地の場所を取得した。総統に情報を送れば助けが来るかもしれない…もしかしたら功労者として強化され幹部に…と浮かれる気持ちもある一方で、白衣の女性の手の温かさが妙に後ろ髪を引いた。

総統に情報を伝えたらこの人はどうなるのだろう。


「殺されるの?」

その質問に白衣の女性はうつむき黙り込んでしまった。ただただアルの頭を撫で続けながら。



モニターはライブカメラに切り替わっていた。

音声が出ていないので白衣の女性は気づかない。


対怪人戦闘員…自分を倒したあのヒーローの視界がそのまま中継されている。

ヒーローの視界…ヒーローが倒れているのだろうか、こちらを見下げるようにアルの知らない怪人が笑っている。

(私の仇…この怪人がとってくれるのかな…)


その時、白衣の女性が撫でるのをやめて立ち上がろうとした。

「待って…一人は嫌なの…」

アルは少しでも注意を惹きたかった。振り向かれたらモニターに気づかれてしまう。ヒーローの最期を見たかったのだ。

 「…そっか」

そう短く言った白衣の女性は再び座りアルの頬を撫でる。



アルの電気脳内にはヒーローから中継されている音声もバイタルサインも一緒に流れ込んでいる。




「ヒーローって爆発耐性無いのねぇ…両腕も無しにどう戦うの?」

知らない怪人はニタニタとこちらを見て言う。

ヒーローのバイタルサインは出血多量を示している。



「アルマジロはどこ?答えれば楽に殺してあげるのにね?」

 「言うわけないだろ!」


「まだ生かしているんだねぇ…すぐ見つけて破壊してやるよ。幹部の私と違って元々捨て駒だしねぇ。」

 「…捨て駒…?」




「あいつは捨て駒よ、アルマジロもその仲間も一種の自爆兵器…。まぁそれを君らは大事に守ってるみたいだけど。」

 「…」


「さっさと答えてよ。ウチの捨て駒はどこだい?」

イカ怪人はそう言いつつへそをクパっと人差し指と中指で広げる。




 「言う訳ないだろ!!—

「…じゃ死ね」




そう冷たく言い放ったかと思うとその怪人はへそから黒い液体を飛ばす。




 「…ッッ!!!」




画面一面を黒い液体が包む。


「お前を殺せば別の奴が出てくるんでしょ?そいつに聞くね。」




画面が爆炎に包まれたかと思うと、宙を舞い地面に落ち映像が消える。




バイタルサインは心停止を示していた。


ノイズ交じりの音声だけが送信されている。


濡れた靴のような足音がこちらに近づいてくる。


「あーあー本当に死んじゃったかぁ…上半身なくなっちゃったけど、まあいいや。下半身だけ無事なら楽しめるしね。」


「またね、アルマジロ。」

グシャリと踏みつぶされたような音とともに通信が切れた。





「私…捨て駒…だった…?…それを…守って…しんだ…?」

  「どうしたの?」

突如言葉を発したアルに驚き撫で続けていた手を止める白衣の女性。

「…」

研究室のドアの向こうでバタバタと何人も走る音が響いている。

 「何かあったのかな…」

白衣の女性は振り向きドアの方を向いて呟いた。

「死んだ…」

 「…え?」

白衣の女性はキョトンとした表情でアルの方へ視線を戻す。

アルは

「ヒーローが死んだんだ」


―トラ怪人編に続く

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