マンガの改良ってどうやるの?(自己満自己分析)
どうもおはこんばんちは、ねっこです。
かなり突発的な久しぶりの自己満自己分析です。
多分勘の良い方なら気付いていると思いますが、最近露骨にマンガの練習をしています。

今年の目標を「同人誌制作を頑張りたい」にしていることもあり、マンガうまくなりてぇな〜〜と思ってトーンの使い方やら背景の描き方やら、白黒で魅せる絵をたくさんTwitterにアップしてると思います。
そして、Twitterにアップしてからしばらく経つと、「これ、こうしたらもっと良くなるな…」と気付くことが結構あるわけです。
なので今回はそのブラッシュアップを実際にやりつつ、どこをどんな感じで変更したのかをメモっていけたらなと思います。
どちらかというと「知らない方のために教えたるか!」より「人に教えながら自分も復習的な感じで覚えるか〜」ってニュアンスです。人に教える方がよりしっかり覚えるとも言いますし。
僕自身も漫画のプロってわけではないですが、一瞬だけ漫画家だった時期もありますし、その時に編集さんに教えてもらったことは確かなアドバイスなので、そういうところを踏まえながらね。
同人誌描く人には参考になるところが結構あると思います。これから夏コミの原稿に取り掛かろうとしてる方は是非。
それでは。
・アリス・ケイのマンガをブラッシュアップする
(※大丈夫だとは思いますが、ブルアカメインストーリー最終章のネタバレがございます。)
今回改善していく自分の絵はこれです。

ケイ……………………
Final.「あまねく奇跡の始発点」編 第3章のアリスとケイの別れのシーンを、トーマさんのボカロ曲「オレンジ」と重ねて描いた絵です。
大体この絵の制作時間は五時間くらいだったかな?
勢いだけで描いたわりにはいい感じに描けて満足しているのですが、やっぱり後々見返してみると改善点は見つかります。
今回は最初に「良い部分」をいくつか、その後に「良くない部分」をいくつか挙げて、改善したもの(本気では描かないですが)をお見せできたらなと思います。
・良い部分
基本的なところから行きましょう。
まず一つ目。
1.ノドが意識できている。
ノドとは、冊子を開いた時の中央部分、右ページと左ページの間らへんを指します。
今回は1ページだけですし冊子でもないのであんまり関係はないですが、同人誌制作においては結構気をつけないといけないところです。
本を開いてみると分かるのですが、この部分はノリとかでくっついているためあんまり広く開けず、絵やセリフがよく見えない位置になります。
なのでここに絵やセリフを描いてしまうと、読者側からするととても読みにくいものになってしまいます。
ノド側の絵は内枠に必ず収めるようにしましょう。

今回この絵は左ページに来るものと仮定してあるので、ノドはページの右側です。
ちゃんとスペースを開けてありますね。
ではその二。
2.タチキリの外までちゃんと絵が描いてある。
タチキリとは、原稿が冊子になるときの「印刷される部分」と「カットされる部分」の境目、って認識で良いと思います。
ただ、「カットされるんなら別にそこから外側は描かなくても良いじゃ〜ん」と思いがちですが、やっぱり印刷する時には多少ズレたりすることもあります。
なので、油断してるとズレた時に線が切れてる箇所が見えちゃってちょっとかっこ悪い……みたいになっちゃいます。

多少ズレても問題ないよう、余裕を持って描きましょう。
次はわりかし知られてないかも?って情報。
3.重要な情報が内枠にできるだけ収まっている。
これ僕は知らなかったです。
さっき「ノド側の絵は内枠に必ず収めるようにしましょう。」と言いました。
ただし、それさえ守っていればあとはどこにでも絵を描いて良い、ってわけではありません。
ここで言う重要な情報は「セリフ」や「キャラの顔(表情)」、「物語の話の流れ的に読者がしっかりと認識していないとダメな物」とかになります。
ちょいと自分の絵をもっかい見てみますと…

青い線が内枠、赤い線で囲まれたところが「重要な情報」になるところです。
赤い線で囲まれてるやつは全て青い線の内側に入っているのが分かると思います。
(今見たら右下のコマだけちょいと怪しいが……)
こういうのがページのかなり外側の方に描かれていると、読者側は読んでて結構疲れるんですね。
単純にページを目でなぞるときの移動距離が長くなってしまうので、その分だけ視線や顔を動かすことになり、「読みにくい…」ってなっちゃいます。
必ずとは言いませんが、「重要な情報」は内枠の中に収めておいた方がいいっぽいです。
じゃあ内枠の外は何描くんだ?って話ですが、今回の絵で言うと「背景」や「首から下の絵」とか。
ページの外側だけ真っ白になってもそれはそれでかっこ悪いので、こういうところもしっかり描きましょう。

……ただ、この絵だけの例外にはなりそうですが、最後のセリフ「鍵かけて」はわざとはみ出させてもアリな気がします。
最後のシーンは「ケイがだんだんと消えていくシーン」になるので、それに添うように『わざと読みにくくしてそのセリフの存在感を減らす』『ケイが消えていく時の光の玉が流れるように、セリフもまるで流れてどこかへ行ってしまうような演出』としてはみ出させるのはいいかなって思います。
同例だとこの辺りですかね。


それぞれ
『読みにくいようにかなり下の方に置き、小さくすることで消え入りそうな声の演出』
『セリフの終わりを見せないことによっていつまでも心の中でブツブツと言っている演出・ついでに端のほうに追いやってるので「後ろの方でなんか言ってんな」感の演出』
です。
それなりの理由がある時の「わざと」はアリです。
4.絵の「引き」「寄り」でメリハリがついている。
これ結構重要です。
「この人これやったらもっと良くなるぞ…」って方かなりいます!

「引き」は写したい物を遠くから見た時の絵。
「寄り」は逆で写したい物の近くで見た時の絵。
それぞれマンガにおいては
「引き」…かなり広く写るので、「キャラがどこにいるか」「周りに誰がいるか」「どんな状況か」の情報を入れたいときに使う
「寄り」…一つのものを大きめに描くので、「表情をはっきり見せたいとき」「細かい変化や動きを描くとき」「明確に印象付けるとき」に使う
と、それぞれちゃんと意味があります。
それに、上の絵を見えもらえば分かる通り、「引き」「寄り」がほぼ交互になっていることが分かると思います。
これによってメリハリがつき、単調な見た目のマンガにならない!ってわけですね。
特に「引き」が出来てない方が結構いるイメージなので、「引き」を増やしてみると良いかもしれません。
…まあ「引き」を増やすと体全体や背景を描く必要が出てくるのでめんどくさいのは分かります……。
似たような系統なので続けていきますが、
5.1ページ内のキャラクターの頭の大きさがコマによって変えられている。
ってのも大事って編集者さんが言ってました。
つまり「頭の大きさを変えるともっとメリハリがつくよ」って感じです。
見てもらえたら分かる通り、結構大きさバラバラなのでこの辺りも出来ててよろしいって感じですね。
6.セリフの位置がちゃんと視線の流れに沿っている。

このマンガを読む時、視線の流れは図のようになると思います。
この線に沿ってちゃんとセリフを置くってのはかなり大事です。

こうすることによって、視線をあっちゃこっちゃさせることなく読めるのでとても読みやすくなります。
こうしてみるとセリフの位置って結構考えるの大変なんですよね…
毎回ネーム切ってる時ヒィヒィ言いながらセリフの位置を模索してます。
あと似たような話で、これは意識してやった訳ではないのでたまたまなんですが、3コマ目、光の差し込む角度が視線の動く角度と一致しているので偶然「視線誘導」が出来ています。

視線誘導とは名前の通りなんですが、視線の流れを絵によって誘導する感じです。
絵によって視線の流れを操作することによって、『動きのある絵を、より視線の流れの方に動いてるように見せる』かつ『視線の流れをよりマンガが読みやすいルートへ誘導する』って感じですかね?
僕もまだ勉強不足なので分かりません()
上の絵だったら、斜め上から下へ降り注ぐ光の動きに沿って視線が動くので「上から下へ」の動きが感じられるし、尚且つその先にセリフが配置されているので読みやすくなってると思います。
最後です。
7.コマの大きさが重要度順になっている。
このマンガで一番印象的だろうなと思うのは2コマ目のアリスの笑顔だと思います。
こういう読者に印象付けたいところは結構大きめにコマを割っていいと思います。
次に見せたいのはアリスとお別れする時のケイの優しい表情。
ここももうちょい大きめでも良かったかも。

……で、コマ割りについてはツッコミたいところが別にあるので、ここは後で書きます。
・良くない部分
さて、ここまで良い部分をポツポツと言ってきました。
ここからは良くない部分です。
1.2コマ目のアリスの顔が小さい。
コマの大きさ自体は十分だと思うのですが、アリスの顔が小さいような気がします。
セリフが近くにあったのでなるべくかぶらないように……と思ったんですが、チキりすぎましたね。
ここはやっぱり幸せそうなアリスの顔を印象付けたいので大きく描こうと思います。
そしてついでにもう一個。セリフが「他の誰かを深く深く、愛せていますか。」となっているので、『誰かと一緒に幸せそうにいるアリス』を描けたらベストですかね。
なので横にモモイミドリを置いて……

描くとしたらこんな感じがいいですかね…?
モモイが内枠からはみ出ていますが、このコマのメインはアリスなので、モモイは上で書いた「重要な情報以外」に当てはまります。
なので内枠からはみ出して描いても良いって感じですね。ごめんモモイ。
あとユズはスペース的に無理でした。ごめんユズ。
2.線が繋がって見える箇所がある。
該当箇所はここ。

右がケイちゃんの輪郭、左がアリスの輪郭なのですが、なんかうまい具合に繋がって見えてしまっています。
本来別々のものがつながって見えてしまうと、読者にとっては「ん?ここ線つながってる?…いや別か……」みたいな雑念に繋がります。
これはあんまり良くないのでズラしてあげましょう。

さっき「右下のコマだけ内枠に入り切ってるか微妙だな…」とも言ってたのでこれで一石二鳥ですね。
あと、他にもこういうのが同じ理由でダメなやつです


こういうのを気をつけられると格段に読みやすくなるかと思います。
3.そもそもページ数が足らん
この「ブルアカ」×「好きな曲」シリーズは、1ページに収めるっていうノルマの元描いているのでこれ以上どうしようもないんですが、例えばこのマンガをページ数に余裕のある同人誌で描こうとした場合、このコマ割りはあんま良くないと思います。
先ほど「このマンガで一番印象的だろうなと思うのは2コマ目のアリスの笑顔だと思います。」と言い切りましたが、嘘言いました。ごめんなさい。
このマンガで一番印象的なのはケイとアリスの別れの瞬間でしょう。
ただこの最後の方の小さいスペースでその感動シーンを描くには無理があるので、ページを増やしたほうがいいですね。
という訳で2ページ目に最後の方を持ってきます。

僕だったらこんな感じで描きますかね……
アリスの『ひとりぼっち感』、同時に『時間が緩やかに流れる感じ・余韻がある感じ』を表現したいので白は多く使います。
ただ上から光が差し込んで神秘的な感じも出したいので、対照的に下の方は黒を多めに使って背景を描きます。
前のコマが「寄り」の絵なのでここは「引き」の絵です。
一番の見せ場なので丸々1ページ使っちゃっていいかも。
そう考えるとこれがベストな気がします。
(アリスの大きさはもうちょっと小さくてもいいかもですね)
・ブラッシュアップ後
とりあえず良いところはそのまま、改善できるところを改善してみた結果がこちらになります。


ちゃんとペン入れをしていないので感情が動くかと言われればそうでも無いですが、なかなか良い感じになったと思います。
・まとめ
とりあえず今回出てきたポイントは
1.ノドを意識する
2.タチキリの外までちゃんと絵を描く
3.重要な情報は内枠にできるだけ収める
4.絵の「引き」「寄り」でメリハリをつける
5.1ページ内のキャラクターの頭の大きさをコマによって変える
6.セリフの位置をちゃんと視線の流れに沿わす
7.コマの大きさを重要度順にする
1.大きく見せたいところはちゃんと大きく描く
2.線の角度や位置に気をつける
3.見せ場をちゃんと用意する
って感じですね。
もちろんこれ以外にも気にすべきことはたくさんあります。
でも、全部とまではいかなくともそれなりに気にしてマンガを描けば結構いいものができるかも。
夏コミは結構この辺意識してマンガ描けたらなあと思います。がんばります!
この記事を読んでくださった方の中に絵師さんがいるのであれば、少しばかりは参考になるかと思います。
頭の片隅にでも置いておいていただけると嬉しいです。
それではまた。





















