モノクロシリーズ 騎翔天使メイ VOL.8

「ああ……。あ、ああ………………」  吹き上がる闇が、天使を包み込む。  純白のコスチュームはボロボロと崩れ去り、艶めかしい漆黒のドレスへ。  自身と少年とを犯していた蛇のような触手は、折り重なっておぞましい生けるマントへと。  気高き騎翔天使は、絶望に堕ちた虐殺天使へと姿を変えていく。 (これは……。こ、これ…………は…………)  薄れゆく意識の中、メイは感じていた。  それは、今まで味わったことも、いや想像したこともない未知の感覚。 (あ、ああ。わたし……わ、わたし………………)  壊れる。  壊れていく。  音を立てて、何もかもが壊れていく。  今までの自分が、ボロボロと崩れ去って、何もかもが消えていく。  そして―― 「あ、あ、あぁ……ん。あ、あぁ……はぁ…………ん…………!」  絶望の嗚咽に喘いでいた唇から、艶めかしい嬌声が漏れる。  それは秘しきれぬ情欲の呻き、歓喜の叫び。  古き衣を脱ぎ、何もかもを捨て去り、新たに生まれ変わっていく――  堕落していくことへの、逃れ得ぬ快感の声だった。 「おお、おおお! あの姿、あの魔力……ついに生まれたな……」 「ああ。希望を守る天使なんかじゃない。希望を喰らい絶望を振りまく闇の天使……ジェノサイドエンジェルの誕生だ!」  周囲で歓声が上がる。  おぞましき魔物から望まれる、祝福の声。  だがそれを、メイは―― 「…………黙れ」  ゾッとするほど冷たい、掠れた声。  嬲られるだけだった獲物のものとはまるで違う。  絶望を与えられる側から、与える側へと回った者の――  守るべき者を失った者の、狂気の産声だ。 「黙れゴミどもがぁぁぁぁ!」 「ッ!? な、何……ぐ、あああああっ!?」  吹き荒れる絶望の魔力。  うねり狂う闇の触手。  闇色の光が魔物の身体を食らいつくし、無尽蔵に伸びた肉蛇が肉を貫き臓腑を引き裂く。 「な、なにすんだテメー! 俺達は同じ絶望の……ッグギャアアアアアア!?」 「く、狂ったか!? せっかく反転させてやったのに……グア、アギャアアアア!」  突然の暴走に、デスパイアたちは狂乱する。  その間にも虐殺天使の凶行は続き、一瞬にして何十匹ものの魔物が塵と化し、何百もの肉片が血みどろの地面に無残に千切り捨てられる。 「狂う……? ああ、そうかもしれないわ…………わたしは、もう…………狂っちゃってるのかもしれませんね~?」  べっとりと返り血を浴びながら、うっとりと微笑む虐殺天使。  騎翔天使と同じ大人びた美貌が、彼女が決してしなかった酷薄な笑みを浮かべる。  それはまさに、狂気に囚われた者だけが見せる、壊れたものだった。 「あは、あは、あは……あははははは! 何ですか~これ~? 何よ、何よ何よ何よ何よ! こんな力があれば……最初からこうしていれば……あは、あはははは。何が希望の魔力ですか~……ああああ、ああああああああッ!」  憤怒。悲哀。失意。憐憫。  敵意。殺意。失意。悪意。  憎悪。嫌悪。後悔。自傷。  ありとあらゆる負の感情が、次から次に噴き上がって止まらない。  そしてそれらの感情が悪しき魔力となり、終わることなく湧き上がってくる。 「ああ、この力……ふふふ、ふふふ、あははははは! これが絶望の魔力……なんですね~。なんて力なんでしょう~……はははっ、あひゃはははははは!」  制御不能の力。無尽蔵の力。  エンジェルとして最も忌むべき、許してはいけない力。  自分はずっと、これに相対するために戦い続けてきた――こんな邪悪な力による理不尽を許してはいけない。  そう教えられて、そう信じて。  でも、でも――その、末路は。 「そうよ……これよ、これ! わたしにはもう何もない……貴方たちが奪い去った……なんて言わない。わたし自身の手で壊した……わたしが! わたしがやった! 生き延びるために、わたしは自分の手であのコを……あのコは、懸命に生きたがっていたのに……わたしが、わたしがっ!」  慟哭。  血の涙を流しながら、メイは叫んだ。  どうしようもない絶望に身も心も焼かれながら、周囲すべてを巻き込んで、絶望を吐き出し続けた。 「結局……ああ。わたしは……わたし自身が一番可愛かったって事なのね。何が希望のエンジェル……ははははは笑える! わたしは自分が生き残るために、一番大事だったものまで犠牲にして……ははははははっとんだ天使もいたものね。あはは、あはははは!」  殺戮。虐殺。鏖殺。滅殺。  癇癪を起こした赤子のように喚き散らし、感情を制御できない子供のように暴れまわる。  圧倒的な魔力は周囲を滅茶苦茶に破壊し、デスパイアたちを見るも無残な肉塊へと変えていく。 「う、うわ、うぎゃあああああああ!」 「ま、待て、落ち着け! た、助けっ……ひっぎゃあああああああ!」  無残。無慈悲。冷酷。残虐。  ジェノサイドエンジェルの触手がうねり、絶望の魔力を吐き散らす。  絶望の宴を愉しんでいたデスパイアたちは、一転して、自らが絶望を味わう側へと転じていた。 「はぁ、ははは、はははっ……と。この力……すごいけど、その分すぐにお腹が減っちゃうのね。まぁでも……減ったらその分補えばいいだけよね? さっきしたみたいに……お前たちがわたしにやらせたみたいに……こうやって、ねぇ!」  にゅる、にゅる、にゅるるるるっ!  血まみれの触手が伸長し、手当たりしだいにデスパイアたちを拘束する。  もはや五体満足の個体など数えるほどしかいないが、その中でも比較的傷の浅いものを捕らえると、凄まじい力で主の元まで引きずり寄せる。 「ひ、ひぃ……な、何を……何をする気だ…………」 「はぁ……ふ、ふふふ! 怯えちゃって……さっきまでの威勢はどこに行っちゃったのかしら? もう少し元気にしてくれないと困るわ……何百回もわたしを犯してきたでしょ? ふふふ、また楽しませてあげる……こうやって、ね」 「なっ……う、ひ、あああ……!?」  艶かしく微笑むと、メイはデスパイアの身体に自ら腰を降ろしていく。  自らの手でコスチュームをずらし、殺戮の快楽で濡れそぼった秘唇を掻き分け、ピンク色の粘膜までもを見せつけながら腰をくねらせる。  その様はひどく淫猥で、蠱惑的だった。 「ほら……好きにしていいのよ? あの時みたいにいっぱい犯して、いっぱい射精して……ふふふ。この触手チンコ少しでも萎えさせたら、すぐにでも八つ裂きにして殺してやるからね」 「ひっ、な、あ……うあ、あ、ああああああ……!」  ずぶぅっ……じゅぶ、じゅぶぶぶぶ――!  貪欲にひくつく雌の口が、魔物のペニスを美味そうに飲み込んでいく。  先程まで思うがままに天使を嬲り犯し、完全に屈服させていた男根が、今度は完全に立場を違え、女を喜ばせるための肉玩具として弄ばれる。 「はあぁンッ……ン、ンンンッ! いいわぁ……貴方のペニス大きくて、固くって……やっぱり気持ちいいわね。奥まで来るの……ふふ、好きよ」  ぺろり、と蛇のように舌なめずりしながら、ゆっくりと、しかし力強く腰を上下させ始めるジェノサイドエンジェル。  そのたびぐちゃり、にちゃりと淫猥な蜜音が響き渡り、豊満な肉尻がぶるんぶるんと挑発するかのように揺れ撓む。 「お、お……おおおぉっ! な、なんだァこれ……ひ、ぐ、あああっ! すげえ……搾り取られて……ぐあ、おおぉぉぉっ!」  あまりの快感に、悲鳴じみた喘ぎを漏らすデスパイア。  これまで数え切れないほどの獲物を貪ってきた魔物だが、これほどまでに淫蕩で心地よく……そして攻撃的で貪婪な牝壺は、はじめてだった。 「あはぁッ、感じてるのね……ガチガチのチンポ、ビクビク痙攣してるわよ。こっちの触手も……ふふ、サービスしてあげる♪」  快楽に震えるペニスを激しいピストンで苛め抜きながら、メイは周囲で蠢く触手の一本に手を伸ばした。  以前なら嫌悪と恐怖しか感じなかったはずのデスパイアの触手を、自ら楽しそうに掴み、シコシコとシゴキ立てて玩弄する。 「うお、す、すげ……ひ、ああっ! なんてエロい指遣いだ……うおおお、き、気持ちすぎるぜ……ぇ!」  これまでデスパイアたちに強制されてきた指奉仕のどれよりも、淫蕩で攻撃的な虐殺天使の指遣い。グッと押しつぶすほどの力で肉幹を握りしめ、肉を削ぎ落とすかのような激しさで摩擦される。 相手を感じさせるよりも自分が楽しむことを優先した、なのにひどく淫猥で気持ちよすぎる淫虐の指戯に、魔物の触手はビクビクと激しく痙攣して悶え狂った。 「ふふ、いいわね。すごく元気……でもまだイっちゃダメよ。わたしより先に満足したりしたら……このまま握り潰しちゃうからね!」  ヌメヌメと粘りつくような皮膜のような手袋の感触が、さらに快感を煽り立てる。早くも射精しそうになっていた触手だったが、メイの残虐な宣告の前に縮み上がった。  しかし淫らな天使は当然耐える事など許さず、ピッチを上げて激しい摩擦で触手ペニスを追い詰める。同時に腰の動きも激しくし、残酷な快楽責めを加速した。 「うあ、ひ、ひ……おお、おおおおっ! だ、だめだァ……んおおおっすげえ、し、搾り取られる……うお、おおおお!」 「ふふ、おちんちんも触手もビクビクさせて……可愛いわねぇ。ほらっどうしたの、もっと頑張りなさいよ……あんなにもわたしを激しく虐めてくれたじゃない。それが何よこの情けないザマは……ほらぁ、わたしより先にイったら殺すわよ!」 「うぐあぁ、あ、あ……ヒ、イィ……!」  恐怖と戦慄よりも、快楽のほうが遥かに上だった。  天使の腰が艶かしく蠢くたび、ペニス全体に信じがたいほどの快感が駆け巡る。貪欲な肉壷はまるで軟体動物のようにうねくり続け、根本から先端までを同時に搾り上げられる。じゅぼじゅぼと音を立てながらの激しいピストンで責め立てられれば、もうそれだけで達してしまいそうなほどだ。 「うぐぁぁ、す、すげえ……っぐ、あああ! も、もう出る……うおお、搾り取られる……うぅぅ!」  ドビュ、ドビュ、ドビュビュビュビュッ!  僅か数回のピストンで、デスパイアは呆気なく達してしまった。淫乱極まる肉壷に根本から搾り上げられて射精し、ヌメヌメした手袋で擦り潰されて触手からも同時に射精する。  数多の女を食い散らしてきた陵辱者とは思えない、惨めすぎる射精だった。 「あふぅ……ンッ! はぁ……相変わらず濃くって熱い……ふふふ! でも残念……言ったでしょ、先にイったら殺すって。まぁ……どのみちお前たちはみぃんなわたしの餌。わたしのこのくっだらない、どうでもいい人生を永らえるための餌なんだけどね!」  触手から吹き上がる白濁で美貌を淫らに染めながら、酷薄に微笑むナイトエンジェル。子宮内に届くほどの射精もすべて平らげ、それでもなお貪欲に膣腔をすぼめて射精中のペニスを締め上げる。飢えきった肉壷は精液と同時に、デスパイアの生命の源である絶望の魔力までもを吸い上げていた。 「う、お……お、おぉぉ……ォォッ!? な、何だこれェ……おおおっ止まらねえ、す、吸われる……俺の魔力……し、搾り取られちまう……ウゥッ!」  ドビュ、ドビュ、ドビュビュビュッ!  意志に反して大量の精液が、加速度的に搾り出されて噴き出し続ける。生命の危機を感じて暴れまわるデスパイアの巨体を、メイは騎乗位で押しつぶし、肉感的なヒップで抑えつけながら、さらに腰をグラインドさせて責め嬲る。 「あはははっ、無様な声! いいわよ、もっと泣きなさい、わめきなさい、あがきなさい! ああぁ~いいわねぇ、踏み躙られる側から踏み躙る側に回るってのは……本当、気持ちいいわッ!」  狂った哄笑を上げながら、惨めなオスを弄ぶジェノサイドエンジェル。ビュルビュルと精液を噴き出し続ける触手を、そのまま一気に握り潰す。 「ひ!? ギャ、ギャアアアアアッ!」  苦痛とショックで、ビクンと身体が痙攣する。切断面から血と精液が同時に噴き出し、搾られ続けるペニスからもビュクッと白濁汁が溢れ出した。 「あ、あはあぁンッ! いいわぁ、生命の最後の一滴……ふふ、うふふふふ! これクセになっちゃいそう……はあぁンたまらないわ、絶望の魔力って、とっても美味しい……♪」  血と白濁にまみれた美貌をうっとりと蕩けさせ、魔力を搾取し続けるジェノサイドエンジェル。  壊れたクリスタルは、もはや魔力を補充する事は出来ない。  だからジェノサイドエンジェルは、おぞましき性行為を通じて、文字通りに生命を搾取しているのだ。 「そうよ……ふふ、ふふふ! 全てはわたしの餌……お前達すべての生命を喰らって、わたしは生き残る。そうよ……何を犠牲にしてでも、わたしは生き延びてみせるわ…………」  快楽と狂気に染まった瞳が、残酷な笑みの形に歪む。  だがしかし、その場にいる誰もが――メイ自身さえもが、気づいていなかった。  その瞳の橋に静かに流れる、最後の涙の一滴に。 「ねぇ……わたし、貴方を犠牲にしてでも生き残ってしまったんですから。わたし、貴方の分まで生きないといけないんですから…………  それは彼女の復讐か。  それとも、自らに課した罰なのか―― 「佑樹……くん…………」  その夜。  自身が生き長らえるためだけに、あらゆる希望も絶望をも喰らい尽くす、最悪の天使が生まれ落ちた―― ============================ ついにジェノサイドエンジェルが誕生してしまいました。 あのメイにはこんなストーリーが隠されていたんですね……心が壊れてしまった彼女はどうなるのでしょうか… メイのコスも新規デザインになってますよ~。





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