小説 【入れ替わり・恋人同士】⑤

-目次- ・13.電車で露出 ・14.いつもと違う味覚 ・15.モノマネ 13.電車で露出 電車に乗り込んで、人混みの熱気に包まれると、陽真(精神は澪)は急に現実感が押し寄せてきた。ミニスカートの下にパンツを履いていない自分の体――それを許したことが、まるで自分の中で小さな嵐を巻き起こしている。 「やっぱり、いいよなんて言わなきゃよかった……」 恥ずかしさと緊張で顔が熱くなる。周囲の目線を感じるわけではないのに、まるで見られているような錯覚にとらわれる。 一方で、澪(精神は陽真)はそんな陽真(精神は澪)を知ってか知らずか、少し嬉しそうにミニスカートの裾をちらりと上げて、あえて挑発するような表情を浮かべていた。 「陽真くん…澪のスカートの中…見せてあげよっか?♡」 心の中で囁くその声は、どこか楽しげで、陽真(精神は澪)の心をくすぐる。 陽真(精神は澪)は慌てて裾を押さえながらも、「や、やめてよ!……早くホテルに行こう……」と渋々ながらも気持ちを固めた。 そんな感情の間で揺れる心。恥ずかしさと、ほんの少しの屈辱感が入り混じり、いつもと違う感覚に戸惑いを感じていた。 電車の揺れに身を任せながら、二人はそんなドキドキな時間を過ごしていった。 その後二人はホテルの最寄駅につき、最寄駅のコンビニで夜食を買い込んだ後にすぐにホテルに向かった。 ホテルのロビーを抜け、予約していた部屋の前にたどり着くと、陽真(精神は澪)は慌てたようにカードキーを差し込みドアを開けた。その動きには、どこか落ち着かなさと焦りが混ざっているのが感じられた。人混みのなかでの緊張感がやっと解ける瞬間を待ちわびていたのだ。 「やっと、ここまで来たね……♡」 ニヤつきながら、嬉しそうに後ろからついてくる澪(精神は陽真)は、普段の彼女らしい柔らかな表情で、わずかに胸の内で高鳴る鼓動を感じていた。陽真(精神は澪)も、それに気づき、ふっと頬を染める。 部屋に入るとすぐに、陽真(精神は澪)は視線を落としながら口を開いた。 「ねぇ……すぐに、下着はちゃんと履いてほしいんだけど……」 「えぇ?もう少しこのままでいたいんだけど…♡」と澪(精神は陽真)は陽真(精神は澪)の耳元で囁く。 しかし、陽真(精神は澪)は慌てて注意した。 「ダメだよ!そんな格好でいられるなんて、恥ずかしいからっ!早く下着履きなよ!」 澪(精神は陽真)はその言葉に仕方なく頷く。新品の下着はまだつけたくなかったから、思わず尋ねた。 「まださっき買った新品の下着は履きたくないんだけど…澪が元々履いてた汚れたパンツを、ちょっとだけ履いててもいい?♡」 陽真(精神は澪)は一瞬顔を赤らめながらも、「え、汚れたパンツを?…まあ、履かないよりはマシよね…」と、渋々許可した。 澪(精神は陽真)元々履いていた少しだけ湿った水色の縞々パンツを手に取り、そっと身につけた。肌に触れるその感触に、彼はひそかな興奮を覚えつつも、どこか不思議な感覚を楽しんでいた。 14.いつもと違う味覚 ふたりはベッドの上に腰を下ろし、コンビニで買ってきた食べ物を袋から取り出し始めた。 ミニスカート姿の澪(精神は陽真)は、手に納豆パックを持って顔をほころばせる。 「俺、納豆けっこう好きなんだよね♡」 と、澪(精神は陽真)が楽しげに話す。 しかしそれを見て、Tシャツと短パン姿で陽真(精神は澪)、思わず顔をしかめた。 「ちょ、ちょっと待って。納得食べるの……? 私、納豆本当にダメなんだけど……匂いとか、もう無理」 もとの自分の身体が納豆のパックを開ける様子に、陽真(精神は身)は遠慮なく嫌悪をあらわにする。 「でも今、中身は俺なんだし、試してみる価値あるだろ? もしかしたら味覚変わってるかもよ♡」 そんな会話の後、澪(精神は陽真)は割り箸で納豆をぐるぐる混ぜ、澪の舌でひと口すくって食べてみた。 「……ん? あれ、これ……なんか、臭い? いつもより匂いを強く感じるような……」 首をかしげた澪(精神は陽真)。もともと大好きだった納豆のはずなのに、澪の身体の舌ではなぜか違和感と臭みのある味わいだった。 「ほらね、私の身体じゃ納豆合わないんだよ、たぶん」 陽真(精神な澪)が勝ち誇ったように笑う。 「じゃあ、そっちはチョコミント食べてみてよ。俺、あれ昔から歯磨き粉にしか思えなくて苦手なんだけどさ」 澪(精神は陽真)がそう言って、今度はチョコミントアイスのカップを陽真(精神は澪)に手渡した。 陽真(精神は澪)は、にこっと笑ってスプーンですくう。 「これは安心。私はチョコミント大好きなんだもん♡」 そう言って、ぱくりと口に入れた瞬間――。 「ん……? あれ? なんか、思ったより……スースーしすぎ? あ、いや、なんか薬っぽい……」 違和感に眉をひそめた。 「えっ、マジで? 俺の身体、やっぱりチョコミント苦手なのか?」 澪(精神は陽真)が驚いた顔をして、代わりにひと口食べてみる。 すると―― 「うまっ!? なんで? チョコミントってこんな美味しかったっけ!?」 澪の舌で味わうチョコミントは、爽やかなミントの風味が心地よく、チョコの甘みとも絶妙に合っていて驚くほど美味しく感じられた。 「ねえ……これってさ、単に味覚の問題だけじゃなくて、体全体で味わってるんだね」 チョコミントのカップを眺めながら、陽真(精神は澪)がぽつりと呟く。 澪(精神は陽真)もうなずきながら、「ちょっと悔しいけど、たしかにそうかも」と小さく笑った。 食べ物ひとつとっても、入れ替わったことでこれだけ違う。 ふたりはベッドの上、買ってきたおにぎりやデザートをゆっくり分け合いながら、入れ替わった身体の不思議さをかみしめていた。 15.モノマネ 食事後。 ホテルの部屋でのんびりくつろいでいると、ふたりはベッドに腰掛けたまま動画サイトを眺めていた。画面の明るさが交互に揺れる中、入れ替わった状態ならではの違和感と楽しさがほどよい緊張感をもたらしている。 そのとき、澪(精神は陽真)、ふと立ち上がって言い出した。 「ねえ、ちょっと真似してみたいんだけど…やってみるね?」 ミニスカート姿の澪の身体で、陽真はいたずらっぽく微笑む。見た目は女性なのに、中身は陽真のままだからこその悪ノリだ。 一方、陽真の身体に入っている澪は、少し慌てたように目を見開く。 「あ、ちょっと待って! 何をするつもり!?」 澪(精神は陽真)は、おどけたポーズを取りながら、ふっと鏡の前に向かう。 「じゃあ、顔はこう…腰に手を当てて…ね、『ふぁぁ〜、疲れちゃった〜♡』って感じで。どう?」 その言い方は、以前澪がふざけてやってみせていた口調の真似らしく、澪(精神は陽真)は全力でぶりっ子風に演じる。 「ねぇねぇ、はるまくん♡ 今日もお疲れさま〜。どうする? 一緒に寝よっか〜?♡」 その瞬間、陽真の身体に入った澪は赤面し、思わず枕を手に取り―― 「や、やめて! 恥ずかしいからやめてってば!」と叫びつつ、どこか楽しそうにツッコミを入れる。 澪(精神陽真)は「似てたでしょ?前に観察してたんだよね〜!♡」と得意げだ。 陽真(精神は澪)は苦笑しながら枕を投げつけ、澪(精神は陽真)はベッドで身をかわす。 「ほんとにもう…私の身体でこんなことしないでよ!」 「でも、せっかくのチャンスだから、研究しないと損じゃん?」 澪(精神は陽真)の悪ノリに陽真(精神は澪)は眉をひそめるが、その表情にはわずかな微笑みも交じっている。入れ替わったままだからこそできる遊びだとわかっているからだ。 続けて澪(精神は陽真)はさらに挑発した。ベッドサイドにあったクッションを持ち、「じゃあこれは?」とポーズを変えてみせる。 「こうやって、こう…あ、ちょっと角度違う? うーん、やっぱり自撮りしないとわかんないな〜」 陽真(精神は澪)は枕を抱えたまま「あんた、本当に私の身体で変なことしないでよ!」とツッコミを入れる。だがその目は笑っていて、表情は柔らかい。 その後もしばらく、澪(精神は陽真)は澪の細やかなしぐさをぶりっこしつつ 真似を試み、陽真(精神は澪)は恥ずかしそうに反応しながらも、その実験に付き合ってくれる。ふたりの間には、入れ替わりのドタバタ感と信頼が入り混じった温かい空気が漂う。 やがて澪(精神は陽真)が少し落ち着いた声で言う。 「ごめんね、でも…これも思い出になるかなと思って」 陽真(精神は澪)も深呼吸して顔をあげ、にっこり笑った。 「…うん、恥ずかしいけど、楽しんでるならいいよ。さ、そろそろ動画に戻ろう?」 そのまま、二人は動画サイトで適当な動画を見ていたら、お風呂にも入らず寝落ちしてしまっていた。 -続く-



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