淫獄の肉人形

地下の闇は、いつものように湿り気を孕んでいた。

海底を思わせる冷たいコンクリートの壁は

換気扇の唸りだけを規則正しく反響させ

それは、海に面した山裾に建てられた屋敷の地下にあるにも関わらず

潮騒の音はおろか、潮の香りすら一切しない無機質な空間だった。

鉄とコンクリートの冷たい匂いに混じり漂う薬品臭と独特の生臭さだけが

この施設の目的を暗に伝えていた。


ここは、湾岸都市を牛耳る極道組織同盟「四狂」の一角

「青」の組長、氷賀篝の屋敷の地下にある私設実験場。

今日、山上玄造はその施設の檻の中にいた。

手足は太い革ベルトで拘束され、目は厚い黒布で覆われている。


四狂の組長同士で行われている輪番管理によって

玄造の体は、すっかり「仕上げられて」いた。

歳不相応の逞しい筋肉は変わらぬものの、毛並みは艶を失い

腕から胸板にかけて彫られた刺青も、同様に色褪せていた。

割れた腹筋には幾つもの縫合跡が走り、その尻穴はいつでも開くよう調教され

媚薬ローションの残滓で絶えずヒクヒクと痙攣していた。


「おう!ワンコロ、待たせたなァ」


不意に聞こえてきた耳障りな声に、玄造はビクリと顔を上げる。

目隠しされた暗闇の先に感じる気配が

ピタピタと足音を立てて近づいてくるのが分かる。

どうやら篝は裸足のようだった。

足音が玄造のいる檻の前でピタリと止まる。

次いでガチャリと重い金属音が響き、気配が近くまで来ると

玄造の首を繋いでいた革ベルトと目隠しが外された。

玄造は無言で跪いたまま顔を上げ、篝をじっと見据える。

篝は既に白い褌姿だった。

玄造で遊ぶ際の、いつもの姿。


玄造に、抵抗する気力はもうない。

だが、己が己であり続けんとする最後の意識だけは―

必死に守り続けていた。


「くふふっ…相変わらずいい目しとるわ…そそるでぇ」


篝は満足げに口の端を歪ませ、再び玄造に目隠しをすると

首輪に繋がれたリードをくい、と引き玄造を立ち上がらせ、歩き始めた。

二人の裸足の足音がピタピタと響き、少しずつ周りの匂いが変わっていく。

玄造は暗闇の中で、その匂いの変化に恐怖を感じ始めていた。


忘れもしない、この匂い。この空気。


かつて、玄造はこの場所で、腹の中を生きたオナホにされ

そのテストと称して篝を含む四人のケダモノ共に犯され、蹂躙されたのだ。

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バケモノじみた四人の逸物によって腹を裂かれ、血とザーメンにまみれながら

生死の境をさまよった記憶が鮮明によみがえる。

体じゅうの毛が無意識に逆立ち、呼吸が荒くなっていった。


「…なんやワンコロ、なんぞ思い出したんか?」


その声色に、玄造を気遣う気配は微塵も感じられない。

ただ玄造が苦しむ様子を見て愉しむ、残忍な愉悦だけがそこにはあった。


「ほれ、まずはここに座って落ち着きぃ。目隠しはそのままやで」


恐る恐る腰を下ろす玄造の尻に柔らかなクッションの感触が伝わる。


「…今度は…何をするつもりだ…」


震える口吻を無理やり動かし、玄造は声を絞り出す。

すると、玄造の首筋を何かが這うのが分かった。

篝が背後からゆっくりと、その太い指を這わせたのだ。

指が玄造の首と首輪の隙間に入り込み、首輪が外れる。

背中に伝わってくるざらりとした鮫肌の感触と圧倒的な肉体の圧に

玄造は嫌悪を感じていた。

にもかかわらず、玄造の胸は恐怖とは別の鼓動を刻み始め

股座がじわりと熱くなっていく。

玄造に、長きにわたり課された輪番管理による調教はその肉体を

ありとあらゆる苦痛と快楽を期待し

そして受け入れるべく反応するように作り変えていた。

己の意思とは真逆の反応を示すようになってしまった体に

玄造は幾度となく歯噛みし、そして敗北を繰り返していた。


不意に、僅かに酒の匂いのする吐息が玄造の頬を撫で

耳元で太くざらついた声が聞こえてくる。


「今日はな、ウチの新商品のテストをしてもらいたいんや…

 今回は痛い事もナシ、気持ちいいだけや…な?ええやろ」


玄造は眉をひそめる。

どうせろくでもない商品である事は、容易に想像がつく。

これまで篝から受けた凌辱の数々と、奴の喜色を帯びた声色を考えると

これがただの「商品テスト」ではないという事は明白だった。


「新商品はぁ…名付けて「スーパーリアルドール『陸の獣人仕様』」!

 触ったら分かる筋肉の張り、毛並みの質感、全部本物そっくり!

 しかも内部は最新のシリコンと生体組織のハイブリッド!

 締まりも体温も忠実再現!まるで生きとるような抱き心地の

 プレミアムラブドールや!

 で、今日はあんさんにそいつの体験テストをしてもらいたいんや」


「な…にぃ…?」


視界は相変わらず闇に閉ざされているが

その「スーパーリアルドール」とやらは

おそらくもう自分の目の前に用意してあるのだろう。

要は人形とまぐわえ。という事だ。

勿論、玄造はいままでそんなものを使った事などない。

が、そのあまりに異質で悪趣味な要求に玄造は顔をしかめた。


「ほれ、まず触ってみぃ。

 あ、ちなみにこいつ雄獣人モデルやからな。

 どうや?この逞しい胸板、ガタイの厚み、太い腕…

 あんさんトコの若い衆にも負けんくらい、ええ体やでぇ?」


訝しむ玄造などお構いなしに、篝は玄造の手を引いて

その「人形」のある方へと導く。

暗闇の中、玄造の手がゆっくりとその「人形」に触れた。

それは確かに、生きているような温もりだった。

短い毛。少しごわついているがその下に感じるぶ厚い筋肉の隆起が

相当逞しい雄の獣人を模しているであろう事を感じさせる。

肩から二の腕にかけての、力強い曲線。

ずっしりとした重い脚は大木のように太い。

そう、まるでそれは、鍛え抜いた格闘家のような…


玄造の指が震えた。


「……誰、だ…」


掠れた声で問うが、篝はカラカラと笑いながら玄造にその「人形」を抱かせる。


「さぁてなぁ?ま、 使ぉたら分かるかもしれんで?

 ほれ、好きに使え。今日は特別に、ワンコロが『タチ』でええで」


不意に篝の手が、玄造の背中を押した。


「ぅおっ!」


もんどりうった玄造は、もたれかかるようにその「人形」を床に押し倒していた。

元より選択の余地など無い。

玄造は顔をしかめたまま、その「人形」と手探りでまぐわい始めた。


身長は玄造よりやや高い。だが、体躯は圧倒的だった。

例えるならば『筋肉達磨』。短い毛皮の下の太く逞しい筋肉は

玄造が触れる強さや、関節の曲がり方に応じて弛緩・収縮し

絶妙な反応を返してくる。

そして何より驚いたのは、熱。

鼓動はないが、内部のヒーターが体温を再現しているのだろう。

抱きしめるとじんわりと伝わる熱が、リアルさをさらに増していた。


(なんだこれは…本当に、「人形」なのか…?)


今でこそ、その身は奴隷として扱われているが、玄造は武術の達人。

こと、人体の構造に関しては誰よりも熟知していると自負している。

その玄造をしてもこの「人形」のリアルな造形は驚くべきものがあった。


続けて玄造の手が、人形の顔にかかる。

骨太な顔つき。さぞ厳つい面貌なのだろう。

耳の大きさから熊の獣人である事が分かった。

太いマズルを両手で包み、接吻を試みる

…が、人形の口が開かない。

そこで篝が声をかけてきた。


「あぁ、チューはちぃと我慢してや

 口ン中は調整中でな…ボイス機能を付けよう思てんねん」


このうえさらに声まで出るようにするという篝の言葉に心底吐き気を覚え

玄造は手を放し、そのしかめっ面を隠すように人形の胸板に顔を埋めた。


ここで玄造はハッとした。

温められた人形から発せられる独特の薬品臭の中に

ふと、覚えのある匂いがしたのである。

しかしなかなか思い出せない。

だが、確かに記憶にあるそれは

とても懐かしい匂いだった。


「エッロい手つきするなぁワンコロ。

 ええでぇ、さすが伊達に歳くってへんな。

 その調子でたのむでぇ」


からかうような篝の声が背後から聞こえると同時に

玄造の逸物が篝の太い指に掴まれた。


「ふぐっ…!」


目隠しをされ、身構える間もなく股座を襲う快感に玄造がのけぞる。


「んッ…!んはぁぁぁ…」


篝の手にはたっぷりとローションが塗られていた。

ぬちゅっぬちゅっと太い指がチンポを包み込み、玄造を嬲る。

その感触に玄造の体はビクビクと震え、口からは吐息が漏れた。


「ふん…すっかり板についたなァ、ワンコロ。

 ワイの手コキ、そないに気持ちええか」


「んふぅっ!…ッ…んあっ!」


篝の問いに応える事なく嬌声を上げる玄造。

じっくりとこね回す篝の手つきに合わせるように、腰は無意識に動き快楽を貪る。

その様子をたっぷりと堪能した篝は、頃合いを見て手を放すと、玄造の尻を叩いた。


「ほれ、もうじゅうぶん勃ったやろ、さっさと挿れぇ!

 こいつのケツマン、ワンコロのチンポにピッタリやで」


「…ぐっ!…くそ…っ!」


玄造は歯を食いしばりながら、人形のアナルを探しはじめた。

体に染みついた調教の成果は暗闇の中でも正確に人形の秘部を探し当て

十分に勃起した玄造の逸物は、ほとんど抵抗なくぬるりと根元まで沈んだ。


「うっ…!」


―締まる。

挿入と同時に、内部がまるで生きているように収縮を開始し

仕込まれたシリコンが、玄造の形を覚えるように蠢く。


「んっ…おおっ…!」


玄造の喉から、掠れた吐息が漏れた。

篝の声が、背後から響く。


「ええやん、ええやん。

 ほれ、もっと腰ぃ入れやぁ

 こいつのナカ、ワンコロのチンポでグチュグチュいわしたって」


玄造は、徐々に腰を振りはじめた。

逞しい背中を掴み、何度も力強く突き入れる。

その動きに合わせ、「人形」の体もびくん、びくんと反応を返し

内部の機構が、収縮と弛緩を繰り返す。

声こそ上げないものの、その反応とぬくもり、感触

そして、確かに覚えのある匂いに、ますますこの「人形」が

実は生きた人間なのではないかという疑念が再び沸き起こる。

しかし、絶えず襲ってくる快楽は、そんな感情をも

いともたやすく押し流していく。

いつしか玄造は、まるで生きているかのようなその人形を

夢中になって抱いていた。


玄造の動きが速くなる。

滴る汗の飛沫が時折パタッ、パタッと床に落ち

実験室の冷たい空間が、雄の匂いと熱気に満ちていく。


そこで不意に、篝が耳元で囁きかけた。


「ええでぇワンコロ。もうすっかり夢中やん

 やっぱ、仲間同士ちゅうんは、姿が見えんでも通じるモンがあるんかねぇ~」


「!…仲…間…?」


玄造の腰が、止まる。


「あぁ~そうやった。こいつの名前、知りたい?」


わざとらしい声色。

篝が喜色を露わにした時のトーン。

玄造の鼓動が、その早さを増していく。


「ほな、御開帳~」


楽し気な篝の声と同時に、ゆっくりと目隠しが外された。

蛍光灯の光が、玄造の目に突き刺さる。

そして、光に慣れてきた玄造の目に飛び込んできたのは―


「……豪…太……?」


玄造の声が、震える。


逞しい筋肉

短く濃い茶色の毛皮

厳つく、男臭い顔


そこに横たわっているのは、紛れもなく車豪太だった。

だが、その目は虚ろに開き、濁った瞳孔は何も映していない。

口は左右を縫い閉じられており

体内は玩具として必要な機能をシリコンと生体組織で補完し

「ラブドール・モデル:車豪太」として完璧に再現された

肉人形になり果てていた。


「…あ……あぁぁ……!」


「ぎゃはははは! ええ顔やでぇワンコロ!

 そうや、こいつは車豪太や。

 山上組の若い衆で、あんさんのコト

 『オヤジ』って慕ってた熊公やでぇ!

 …ほれ、こいつ見てみぃ」


茫然自失の玄造をよそに、篝がリモコンのボタンを押す。


(やめろ…)


天井から巨大なスクリーンが降りてきた


(やめろ…!)


黒い画面に記録映像の文字が流れ、しばらくした後

そこに映し出されたのは…


(う…あ…あ…!)


この地下施設での、車豪太の解体の一部始終だった。

>> https://niku-18.fanbox.cc/posts/7706757

腹を裂かれ、内臓を引きずり出される豪太。

絶叫をあげながらはらわたを焼かれる豪太。

楽しそうにその作業をこなす三人の外道達。


そして…最後はその肉体を丁寧に薬品に浸し

血液を入れ替え、内部に様々な機械を入れ、シリコンで補完し…

ラブドールとして再構築する過程が鮮明に記録されていた。


「が…………ああああああああああああああああああああああ!!!」


映像が流れている間、玄造の絶叫は延々と地下に響き渡っていた。

怒りと悲しみと、絶望が混じった、獣の咆哮。


だが篝は、それすらも腹を抱えて笑う。


「ギャッハハハハハァ!ええ声やぁ!ほんっっまええ声やぁ!!

 ほれワンコロ!豪ちゃんのケツマン、お前のコト旨そうに咥えてるでぇ!

 大事な舎弟なんやろぉ!?手伝うてやるからお前のチンポでイかせてやれや!」


いうや否や、篝は玄造の両腕をがっしりと鷲掴みにすると

すでに怒張し、そそり立つ二本の逸物で玄造のアナルを一息に貫いた。

「うあ…あああああ!!」


絶叫とともに涙が頰を伝う。

玄造は篝の二本の逸物に激しく突き上げられ

その動きにシンクロする形で玄造の逸物が

豪太の…ラブドールの内部を深く深く抉っていった。


「なんやァ?ワンコロ!

 ワレェ、大事な舎弟がこないなコトなってるちゅうに

 ソイツのケツマンで腰振ってるんかァ!?

 チンポも萎えるどころか最初ん時よりビンッビンやんけぇ!」


「畜生ぉぉ…!外道っ…!この…くされ外道があああああああ!!」


「なんやかんや言うても体は正直やなぁ!

 ほれ!一発、景気よぉイったれや!」


篝の突き上げがフィニッシュに向けて加速する。

玄造の体内を2本のチンポが暴れ狂い、豪太のアナルが玄造の逸物を絞りあげる。

2重の刺激が玄造を一気に絶頂へと押し上げていった。


「がっ!…あっ!…あぁ…いやだ…やめろ…やめろぉぉぉ!!」


絞り出すような絶叫と同時に

玄造の逸物から迸った大量の白濁が人形のナカに注がれる。


「くぅっ…!わ、ワイもイくっ!いぐでぇ!!」


そして、篝もまた二本の逸物から同時に、その白濁を玄造のナカに流し込んだ。

息も絶え絶えになりながら、かつて豪太だった人形の胸に倒れこみ

涙を流す玄造に、背後から篝の非情な声が響く。


「くひひっ…その様子やと相当ええ塩梅だったみたいやなぁワンコロ…

 ほな、次はあんさんが「ウケ」やる番やで。

 こないなってもうた豪ちゃんのコト、ちゃんと労ってやりいや」



暗転したスクリーンに

今度は人形となった豪太を抱く

玄造の姿が映し出されていた。



淫獄の肉人形(了)


■紋々なし差分■






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