堕ちた王者と最下位ランカー~凛香VSまこと~Part3/The Fallen Champion and the Lowest-Ranked Player ~Rinka VS Makoto~ Part 3
■前回
堕ちた王者と最下位ランカー~凛香VSまこと~Part2/The Fallen Champion and the Lowest-Ranked Player ~Rinka VS Makoto~ Part 2

■前回 ■試合内容 前回に引き続き、凛香VSまことの試合です!! 久々に元王者らしい強い姿を見せる凛香さんですが、まことには秘策があるらしく……!? といった感じで試合の前半戦をお送りしております!! 挿絵は全5枚+α、SSは約10300文字です(pixiv換算で読了まで約20分)。 それでは対戦よろしくお願いします~。 ■Cont...
■試合内容
前回に引き続き、凛香VSまことの試合です!!
まことの策にハマってしまい、完全に試合の主導権を握られてしまった凛香。
果たしてここから巻き返す事は出来るのか!?
といった感じで、試合の後半戦をお送りしております!!
挿絵は全5枚+α、SSは約8500文字です(pixiv換算で読了まで約17分)。
それでは対戦よろしくお願いします~。
■Content of the match
Continuing from last time, it's Rinka vs. Makoto!!
Rinka has fallen into Makoto's trap and completely lost control of the match.
Can she possibly make a comeback from here!?
That's the situation as we head into the second half of the match!!
There are a total of 5 illustrations +α including standing pictures and differences.
Thank you for your support.
★最後にアンケートがあります。プラン内容の方針を決める要素になりますので、よければ皆さんのご意見を教えていただけると幸いです。
There is a survey at the end. This will be a factor in deciding the content, so if you would like to give us your opinion, please do so. (Japanese)
★For non-Japanese users★
Please take a moment to translate and read this short story on sites such as https://www.deepl.com/translator m(_ _)m
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堕ちた王者と最下位ランカー~凛香VSまこと~Part3
The Fallen Champion and the Lowest-Ranked Player ~Rinka VS Makoto~ Part 3
「あはっ♡…………おねーさん、イク時はそんなエロい顔しちゃうんだね♪」
格上の女から絶頂を奪った征服感か、それとも凛香の色香に当てられた興奮か、まことは酷く妖艶な笑みを浮かべながらゆっくりと拳を引き抜いていく。
「お゙っ♡♡……………………」
その直後、辛うじて自らの足で立ち続けていた凛香の体はゆっくりと後ろへ傾いていき、やがて派手な音を立ててキャンバスへと沈んでいってしまった。
「あ~っと、凛香選手またしてもダウンですっっ!!
後輩相手に見事なエクスタシーダウンを奪われてしまいました!!!」
「凛香っっ!!!」
「お゙っっ♡…………ん゙お゙っ♡♡……………………」
親友の悲痛な叫び声が虚しく響く中、当の本人は股ぐらから大量の潮を吹きながら心底幸せそうな表情を浮かべて快楽の余韻に浸っている。
ガニ股に開かれている脚は今もガクガクと震えており、相手を殴るための拳はその役目を忘れたかの様に頭上へと投げ出され、バンザイの格好となってしまっていた。
「ん゙っ♡…………ん゙お゙お゙っっ♡♡………………」
胸を曝け出しながら白目を剥いてしまっているという、年頃の少女が浮かべるには余りにも無様な絶頂顔。
その映像は容赦なく生配信されてしまっており、コメント欄は爆発する様に流れ、視聴者数は現在進行系で跳ね上がっていく。
「お、おい……もしかして凛香ちゃん、本当に負けちまうんじゃ…………」
「マジか…………クッソ、やっぱ俺もまことちゃんに賭けとくんだった」
そんな余りの惨状を見て、会場の誰もが思い始めていた。
──────元王者が、このまま最下位ランカーに屈してしまうのではないか、と。
(おねーさんえっろ♡……これ、ボクのパンチで…………♡♡♡)
雌として極上の肉体を誇る凛香の痴態は、同性であるまことですら思わず見惚れてしまう程の妖しい魅力に満ちている。
ましてや、それが”自分の拳で生み出した結果”だという事もあり─────まことの胸の奥では、これまで抑えていた嗜虐心の芽が急速に芽吹きつつあった。
「何やってんのよりっちゃん!!
後輩相手に無様にボコられてんじゃないわよ!!!」
エプロンを激しく叩きながら、セコンドのあきらが激を飛ばしていく。
彼女はこれまで凛香とまことが幾度となくスパーを行い、その度に凛香が勝つ姿を目撃していたため、目の前の光景に対して困惑を隠せないでいた。
「んっぁ♡…………んっ、ぅ♡♡………………」
ビクビクと痙攣し絶頂の快楽に身も心も任せていた凛香だが、カウントが5を数え終わる辺りでその瞳に正気の色が戻り、呼吸も落ち着きを取り戻していく。
(しあい…………あれ? わたし、ダウンしちゃってる…………?)
試合中に意識をトバされてしまう事などもはや日常茶飯事であり、特に焦る様子もなく正確に現状を把握していく凛香。
(カウント進んじゃってる…………早く立たないと!!)
そして地下特有の長いダウンカウントにも助けられつつも、少女は無事に立ち上がり再び闘うための構えをとっていった。
「まっ、まだっ♡…………まだやれますっ♡♡」
「ボックスッッ!!!」
「さぁ第2ラウンドも後半戦!!
このラウンド全く良い所のない凛香選手ですが、ここからどう盛り返すのか!?」
(大丈夫……普通に闘えば、私の方が強いんだから!!)
格下相手に一方的に弄ばれ無様なエクスタシーダウンを喫してしまった凛香だが、その心は折れてはおらず、自信をもって先制の拳を放っていく。
「やぁっっ!!」
その考えは別に間違ってはいない。
これまでの戦績が示す通り、もし互いにイーブンな状況で闘えば彼女がまことに遅れをとる事はほぼ無いと言える程の実力差が二人の間には存在している。
「これはっ…………お返しよっ!!」
ジャブで相手の顔にガードを誘導させた上で、凛香は力の籠もった右ストレートを放っていく。
その拳は対戦相手の媚薬で屹立した乳首へと寸分違わず放たれていき、リングに少女の苦悶の声が響いていった。
「んぅっっ♡…………」
「凛香選手、意趣返しとばかりの乳首打ちだ~~~~~!!
まこと選手、これは効いてしまったかぁ!!?」
──────だが、彼女はまだ気付いていなかった。
この試合においては元王者と最下位ランカーという本来の上下関係は完全に逆転してしまい、自分が”狩られる側”と成り下がってしまっている事を。
(よし! この隙にもう一発…………って、これはっ!!?)
怯んだ隙を狙って追撃するべく腕を大きく振りかぶっていた凛香だったが、その剛腕が放たれる前にまことはコンパクトな振りでカウンターを繰り出していく。
狙いは先程打ち込まれてしまった乳首。
威力度外視で相手より早く打ち込む事だけを考えた一撃ではあるものの、その効果は覿面だった。
「ん゙ん゙ん゙~~~~~~~っっ♡♡♡」
「あ~っと凛香選手、お返しとばかりに放たれた乳首打ちで悶絶~~~~!!
同じパンチの応酬で完全に明暗が分かれる形となってしまいました!!!」
この日の為に媚薬マッチの特訓を積み重ねてきていたまことと性的な攻撃に弱い凛香では勝負になる筈もなく、肩書とは裏腹に元王者は最下位ランカーの拳で悶えさせられてしまっている。
「ぶふぅぅっっっ!!!」
「まこと選手、躊躇なく追撃の右ストレート~~~~~!!
あぁっと凛香選手、ロープに追い詰められてしまいました!!!」
体重を載せたフルスイングの一撃で軽々と吹っ飛ばされてしまい、あっさりとロープを背負ってしまう元王者。
「ぁ♡…………ふぁっ♡………………」
脳が揺らされてしまったのかそれとも媚薬の影響か、その瞳はトロんと虚ろな光を映しているのみであり、到底この危機的状況を打開できるとは思えない。
「凛香選手、目が蕩けてしまっております!!
これは余りにも危険な状況だぁ~~~!!!」
「やらしー顔しちゃって♡…………”これ”が欲しいんだよ、ねっ!!!」
サディスティックな笑みを浮かべ、先輩の無防備な顔面へとまことは勢いよくグローブを叩き込んでいく。
「ぶぎゅっっっっ!!!!」
固く握りしめられた拳が直撃した瞬間、少女の肉体はビクンと大きく跳ね、リングに情けない悲鳴が響く。
そしてその一撃を皮切りに、最下位ランカーが元王者を蹂躙するドミネーション劇が幕を開けていった。
「がびゅっっ……おべぇっっ……ぶほっっ♡…………ふぶぅぅぅぅっっ♡♡」
「これは酷い……凛香、まこと相手に手も足も出ず滅多打ち~~~~!!
元王者の矜持は果たしてどこに行ってしまったのかぁ!!?」
反撃どころか防御すら出来ず、一方的に殴られ続けてしまっている黒髪の少女。
時折悲鳴に艶っぽい喘ぎが混ざるのが、より一層彼女の惨めさを強調させていた。
「凛香っ、何やってるのよ!!
ボーっと突っ立ってないでせめてガード上げなさい!!」
「はべぇっっ…………ん゙お゙お゙っっ♡♡…………ぐぴゅっっ!!!」
必死にエプロンを叩いて激を飛ばすセコンドに対して、凛香は情けないうめき声を返すのみである。
その瞳は知性の色を映してはおらず、少女の意識が既に失われてしまっている事を表していた。
「アハハッッ……大分良い顔になって来たね♡
それじゃ、これでもっ…………喰らえっっ!!!」
ラウンド終了間近、まことは数歩ほど助走の為に後退するやいなや、鋭い踏みでもって再び接近し、その勢いを拳に載せて全力で右腕を振り抜いていく。
トドメの一撃とでも言わんばかりのその派手な攻撃は、無防備な少女の顔面のド真ん中に突き刺さっていき──────リングに一際大きな悲鳴を響かせていった。
「ぶぎゅっっっっっ!!!!」
カーン!!!
「あ~っとここでゴングです!!! 凛香選手、1ラウンドに引き続き、またしてもゴングに救われる形となってしまいました!!!」
「ぉ♡…………んぉっ♡♡♡……………………」
既に脱力しきっている少女の肉体はロープをギシギシと揺らした後、その反動で大きく投げ出されていき、よたよたと数歩ほど奇妙なダンスを披露した後でキャンバスへと落下していってしまう。
当然の様に蜜壺からは大量の愛液が吹き出してしまっており、大量の汗と涙と唾液にコーティングされたその艶めかしい肉体は、ヒクヒクと無様に痙攣してしまっていた。
「あれあれ~……おねーさん、元チャンピオンのクセに、なっさけないねぇ♪」
その妖艶な姿を見て、最下位ランカーの少女はニヤニヤとその整った顔に笑みを浮かべながら煽りを入れていく。
少女の内に秘めていた嗜虐心は、もはや完全に開花しつつあった。
「ハイ水…………激しくイカされた分、ちゃんと水分取らないとダメだからね」
「ぜぇっ……はぁっ………ぁ……ありがと、あーちゃん…………」
赤コーナーでは、あきらに無理やり意識を回復させられた凛香がぐったりとした姿を見せている。
(まことちゃん、思った以上に凛香の事を対策してきてるわね…………)
あきらは懸命に平静を装っている。
だがこの試合は流石に勝てると考えていた為、予想外の展開を見せられて胸の奥ではどうしようもない焦燥感が静かに膨れ上がっていた。
(なら、凛香の”一番の弱点”も見抜かれているハズ…………そしたらどうすれば)
脳裏に嫌な予感が浮かんだものの、それを口にした所でどうにかなるものでもなく、彼女は口を噤んで親友の身体をケアする事に専念していった。
(早めにKOで勝たなくちゃいけないのに…………まさかこんな事になるなんて)
俯いて必死に呼吸を整えている凛香は、下腹部の疼きを我慢しながらも冷静に考えを巡らせていく。
(まことちゃん……前より強くなってるし、この日の為に色々と準備してきてる)
今まで明確に”格下”だと侮っていた相手に対し、評価を上方修正していく凛香。
だが、媚薬と疲労に侵された思考で考えられたそれは、まだ楽観的な色を残している。
(でも、媚薬が抜ければ私の方が強いんだから…………それまで耐えなくちゃ!!)
少女は再び拳を強く握りしめていく。
その琥珀色の視線の先には、懸命に敵の世話を焼いている愛する妹の姿が映し出されていた。
「凛香選手、またしてもダウンッッ!!
試合の主導権を奪われてから、ここまで全く良いところがありません!!!」
「ぁ…………ぅぁ……………………」
このラウンド3回目のダウンを奪われてしまった凛香。
散々殴られてしまったため元の整った美貌はもはや見る影もなく、身体にも至る所に相手の拳の痕が刻まれてしまっている。
「第5ラウンドも終盤に差し掛かってますが、逆転の気配は全くありません!!
やはりスランプ中の彼女では、最下位にすら勝つ事が出来ないのか!!?」
「なにしてんのよ凛香!!
由乃ちゃんが見てるのに、いつまでも情けない姿晒してるんじゃないわよ!!」
圧倒的劣勢であってもなお、セコンドの少女は諦めずに声を張り上げていく。
散々エプロンを叩いたためか、その手は既に赤くなってしまっていた。
「ぅ、ぁ…………よ、由乃っ………………」
彼女にとってのキラーワードを出された事で虚ろな瞳に再び光が灯り、ふらつきながらも少女はゆっくりと起き上がっていく。
「凛香選手、またしても立ち上がりました!!! "堕ちない少女(アンブロークン)”の二つ名こそ失われてしまいましたが、その粘り強さは未だ健在です!!」
「ボックスッッ!!!」
「ぜぇっ…………はぁっ………………はぁっ……………………」
(またダウンしちゃった……けど、そろそろ身体が落ち着いてきた!!)
クリンチキスでの媚薬の口移しに始まり、ここまで弱点である性的な攻めで試合の主導権を奪われ続けてしまった凛香。
だが徐々に下腹部の疼きが収まりつつあり、思考も鮮明さを取り戻してきていた。
(本当の試合はこれからなんだからっ!!)
「やぁぁぁっっ!!!」
元王者の少女は拳を固く握りしめ、全身の力を込めた右ストレートを放っていく。
久々の反撃に戸惑ったのか、まことはロクな反応も出来ずにその拳を顔面へと受け入れてしまい─────────その余りの”軽さ”に、思わず目を瞬かせた。
「よっわ、なにこのパンチ…………おねーさん、もうヘロヘロじゃん♪」
快楽責めで何度もイカされた事や、第5ラウンドの終盤まで一方的に殴られ続けたダメージ、それに加えて試合前に行った激しすぎるウォームアップが致命打となってしまい、凛香にはもはやまともな攻撃を放つ体力すら残されてはいなかった。
「え、嘘っ……そんなっ…………」
ここまでどれだけ滅多打ちにされても瞳に闘志を燃やし続けていた凛香だが、この試合で初めて顔に絶望の色を浮かべていく。
その呼吸はフルマラソンを終えたランナーの様に荒く、ガクガクと震える足は既に言うことを聞いてくれない。
「こひゅっ…………ぜぇっ…………はぁっっ……………………」
(そっか……私、もう体力が………………)
胸を上下させる度に空気に晒された乳房はだらしなく揺れており、極限の疲労のためか、媚薬が抜けているにも関わらずその先端は固く大きく勃起してしまっていた。
「でも……ちょっと驚いたから、お返しだよっっ!!!」
ニヤけた笑みを浮かべながら、まことは大振りな一撃を放っていく。
だれが見ても明らかなテレフォンパンチであり、元王者の肩書をもつ少女であれば軽く避けることが出来るであろうその拳は──────豪快な音を奏でながら、凛香の顔面へと叩き込まれていった。
「ぶぎゅっっっっっ!!!!!」
「あ~っと凛香選手、必死の反撃もまるで効いておらず、逆に強烈な一撃を貰ってしまいました!!!」
「ぶはぁっっっ…………」
(ダメッ……この娘、私よりっ…………)
この僅かな攻防で彼我の戦力差をまざまざと見せつけられてしまった凛香。
その胸中に先程よりも深い絶望感が刻み込まれていく中、ボクサーとしての本能か、体の方は無意識に相手の身体へと抱きついていった。
「ぜぇっ…………はぁっ…………はぁっ……………………」
虚ろな瞳を浮かべ、相手の体に縋り付きながら激しい呼吸を繰り返している凛香。
そんな元王者とは思えない余りにも弱々しい姿を見せる女の耳元に、まことは愉しげな声で囁いていく。
「これで分かった?…………おねーさんより、ボクの方がずっと強いってこと♪」
「ッッ…………」
勝ち誇った笑みを浮かべながらそう宣言する後輩に対して、凛香は何も言葉を返す事が出来ない。
そんな中、少女にとって救いとも呼べる鐘の音が響いていった。
カーン!!!
「ここで第5ラウンド終了です!! 凛香選手、またしても良い所なくボコられてしまいましたが、果たして逆転の目は残されているのか!!?」
「ぜぇっ…………はぁっ…………ぜぇっ…………はぁっ………………」
束の間の休息の中、少女は何も無い虚空を見上げ、ひたすらに呼吸を繰り返している。
浅く荒い呼吸が絶えず胸元を上下させ、引き締まった腹筋は息を吸うたびにひくひくと弱々しく痙攣していた。
「最後よくクリンチで凌いだわね、偉いわよりっちゃん!!」
絶望的な状況の中、それでも不安を感じさせまいとあきらは明るく振る舞う。
凛香にはどん底に見える様な状況からでも幾度となく逆転勝利を収めてきた実績がある。
「諦めなければきっと勝ち目はある筈だから…………根性見せなさい、凛香!!」
そのため、あきらはまだ親友の勝利を信じていた。
───────たとえそれが、どれだけ低い可能性だとしても。
(ボクも結構限界だから追加の媚薬は飲めないけど……その必要もなさそうだね)
青コーナーでは、満身創痍の対戦相手を眺めながらまことが冷静に状況を分析していく。
格上を”狩る”為に打ち立てた策は予想以上の働きを見せ、おまけに試合前の大幅な体力消費という対戦相手の自爆のお陰で、限りなく薄いと思われていた勝機は今や驚くほど鮮明に現実味を帯びてきている。
(でも、おねーさんは追い詰められてからが怖いから…………気を抜かないで最後まで全力で集中しないと!!)
凛香の地下ボクシングのデビュー戦で闘った時も、まことは手痛い逆転負けを喫してしまっている。
それに加えて既にグロッキーではあるものの、相手は本来遥か格上の選手。
当然ながら、少女の脳内には一片の油断もなかった。
(見ててね由乃…………ボク、絶対に勝つから!!!)
まことは心の中で、愛する親友に対して勝利を誓う。
だが当の本人は、時折対戦相手である姉の姿を横目でチラチラと覗き見ていた。
カーン!!!
(そんな訳ない…………私の方が強いはず)
第6ラウンドの始まりを告げるゴングが鳴る中、凛香はコーナーから一歩も動かずに頭の中で必死に言葉を並べ立てていた。
彼女は自身の”最大の弱点”を理解している。
故に、今の状況が”それ”を引き起こしてしまうであろう事を悟っており、少しでも抗うべく、自分に言い聞かせる様に強い言葉を脳内で繰り返し唱えていた。
(いつも勝ってたのに……由乃も見てるのに……これ以上負けられないのに……)
「私はっ…………これ以上っ、負けられないのよっっ!!!」
再び心の中に強い闘志の炎を燃やした凛香が、大きく腕を振り上げながら対戦相手の元へと駆け出していく。
「やぁぁぁぁっっ!!!」
搾りカスの様な体力をかき集め、必死に自分を鼓舞して心を奮い立たせ、やっとの想いで繰り出した反撃の一打。
だが、そんな彼女の涙ぐましい努力も虚しく──────────少女の顔面に、無慈悲なカウンターが深々と突き刺さっていった。
「がひゅっっっっ…………」
「凛香選手、先手必勝とばかりに飛び込むもあえなくカウンターで撃沈!!
このラウンドもまこと選手の独壇場になってしまうのかぁ!!?」
最下位ランカーであるまことに見切られてしまったものの、それは間違いなく今の凛香に放てる最高の一撃である。
逆転の望みを賭けたその拳に対して綺麗にカウンターを合わされてしまった事で、少女の心の中での”格付け”が済んでしまい、”その時”が訪れてしまった。
(まことちゃん、こんなに強くなってたなんて…………)
”それ”は、凛香が抱えている最大の弱点。
極端なスロースターターである事や、性的な攻めに弱い事もいずれも問題ではある。
だがそれ以上に深刻な、彼女が”堕ちた王者(ブロークンチャンピオン)”と呼ばれるまでに連敗を重ねてしまった最大の原因、それは────────格上と認識した相手に対して、思考が止まってしまう事だった。
(あっ、だめっ…………あたま、ぼーっとしてきた………………)
「あ~っと凛香選手、カウンターが効いてしまったのか完全に棒立ち状態!!」
「凛香っ!! ちゃんとガード上げなさい、相手来てるわよ!!!」
思考を止め、体の動きすら止めてしまった親友の姿を見て、あきらは”それ”が来てしまった事を素早く悟る。
だがセコンドである彼女には叫ぶ事しか取れる選択肢がなく、届かないと分かっていてなお必死に喉を震わせ続けていた。
「アハッ…………や~っと”アレ”が来たね♪」
窮地に追い込まれた際、たまに凛香が棒立ちになってしまう事は当然ながらまことも把握している為、ここぞとばかりに全力でラッシュをお見舞いしていった。
「ぶひゅっっ……おぶぅっっ……はべぇっっ…………がはぁっっっ!!!」
「あ~っと、棒立ちの凛香選手を滅多打ちだ~~~~~!!!
後輩相手にフルボッコにされてしまっておりますが、このまま何も出来ず蹂躙されてしまうのか!!?」
派手なドミネーション劇に会場が大いに湧き上がる中、相手の反撃がない事を確信したまことは更に一歩距離を詰め、力の限りの猛打を繰り出していく。
「んぶぅっっ…………ぼへぇっっっ…………お゙ぶぅぅぅっっっ…………」
もはや迫りくる拳に反応すら出来ていない元王者は、無様な声を吐き出すだけのサンドバッグと化してしまっている。
空色の拳が獲物に突き刺さる度に、既に至る所が赤く染められてしまった肉体は大きく歪み、艶のある長い黒髪がふわりと揺れていった。
「これでっ…………ぶっ飛べぇっっ!!!」
叫び声と共に、豪快な右ストレートが放たれていく。
最下位ランカーと呼ばれている少女の拳は勢いよく狙い通りの場所へと炸裂していき──────元王者の顔面を、身体ごと盛大に弾き飛ばしていった。
「凛香選手、またしてもダウン~~~~~~!!
しかしこれは…………流石にもう限界かぁ!!?」
白目を向きながらピクピクと痙攣し、口からマウスピースを吐き出しかけてしまっている少女。
対戦相手の拳で殴られ続けた結果、その顔面は腫れ上がってしまっており、モデルにスカウトされる程の美貌はもはや見る影もなかった。
「凛香っ、起きなさい凛香っ!!
アンタ、このまま負けてもいいの!!?」
「ぅ………………ぅぁ………………………………」
少女が失神してしまっている事は誰が見ても明らかなのだが、それでもあきらは必死に声を張り上げ続けていた。
対戦相手であるまことが未だに綺麗な顔をしているのに対し、余りにも無様な凛香の顔面が配信を通して世界中に流されていく。
そしてその顔を見て、誰もが理解した。
もはや彼女には、欠片たりとも勝機が残されていないのだという事を。
【堕ちた王者と最下位ランカー~凛香VSまこと~】Part.4(Fin)へ続く___________
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