穴の向こう側④

※

 壁の向こうから言われるまま、オレはトイレの壁にケツをぴたりとくっつける。ひんやりとした壁の感触がダイレクトに伝わり、おもわずびくりと震えてしまった。

 壁の穴と密着したケツ穴に、向こう側から空気が流れてくるのを感じた。向こう側とオレを隔てているのは、文字通り壁一枚だけ。胸がどきどきと鳴り響いて止まらない。気を抜くと目眩で倒れてしまいそうだった。

 緊張しながら、向こう側からのアクションを待つ。なんでもない時間が、オレには永遠のように感じられた。不意に、空気ではない生暖かい風がオレのケツ穴をくすぐった。

「ひぃっ……!」

 思わず情けない声が出る。壁の向こうのそいつは、オレの穴に鼻息を吹きかけながら、またもくすくすと笑った。

「あはは、ひくひくしてら。……かわいいね」

「ひ、ぁ、あっ……!」

 冷たく細い感触が、オレのケツの穴をぐるぐるとなぞる。多分ローションをつけた指先に撫でられているのだ。こんなところを人に触られてるんだと思うと、興奮が止まらなかった。

「ッ……あっ、ぅあ……ッ!!」

 表面に触れるだけのむず痒い刺激が続くと思っていたら、ちゅぷ、と音を立てて指先がオレの中にもぐり込んできた。太さ的に、多分二本分。ローションのおかげで痛くはなく、あっという間に奥まで入り込んできてしまう。そのうち、ケツの中の指がぐねぐねとうごめき始める。

「んおッ、お゛ッ……!?あ゛ッ、あぅう……ッ!!」

 自分で指を挿れて弄ったときと全然違った。指先に力が込められるたび、痺れるような気持ちよさが全身を伝ってくる。多分、ネットで見た「ゼンリツセン」ってところをかりかりと引っ掻かれている。自分で探した時は良くわからなかったのに、今オレの中で暴れている指は、その場所をオレよりも正確に把握しているらしい。

「ん、ん゛ぅう……ッ!!あっ、は……はぁっ、はぁっ……」

 爪の先でたっぷりと虐められたあと、ずっぽりとハメられた指先が引き抜かれていく。いよいよ『本番』なのか、と身体が緊張した――――のだが、引き抜かれかけた指先が、勢いを付けて戻ってきた。ぐちゅっ、と音を立てて、オレの一番イイところを突かれる。

「あッ、んお゛ッ……お、んぉッ!?あ、ひっ、う゛ぅッ……!!」

 ずぽずぽと抜き差しされ、立てられた指先が奥を突くたび、押し出されるように情けない声が漏れてしまう。ケツの中が熱くなって、がくがくと膝が震える。こんな細い指で突かれただけでこんなに気持ちいいなんて。もっと太くて硬いものにかき回されたら、いったいどうなってしまうのだろう?――――想像しただけで、身体がぶるりと震えた。

 声を抑えることも忘れてあんあんと鳴きまくっていたら、唐突に壁の向こうから声がした。 

「だらしないなぁ……いま自分で扱いたらすぐイっちゃうじゃん。ちゃんとガマンしなよ」

 何を言っているんだ、と思って自分の股間を見て気づいた。無意識のうちに右手が勝手に動いて、勃ちっぱなしのそれを握っている。

ケツの中の指先が動くのを止める。オレは慌ててチンコから手を離した。

「す、すまねえッ……つい……」

「『つい』……なに?ケツマンコほじくられて感じちゃってシコっちゃいました、って?」

「ち、ちが………」

 すっかり慣れた、人をバカにした口調。勢いで違う、と言いかけて、やめた。バカにされてもいい、恥ずかしくてもいい。――もっとこいつに、ケツん中をぐちゃぐちゃにして欲しい。欲望のまま、オレは叫んだ。

「あ、あぁ……オレッ、ケツマンコ、ほじられて……気持ちよくって、シコっちまった……ッ!」

「おっ、随分素直になったね。どうして?」

「だって……このままじゃケツん中、ムズムズして収まんねえよッ……なんでも言うこと、聞くから、もっとケツ、ほじくってくれぇ……ッ!」

 下品で恥ずかしくて最低なセリフだった。多分オレは、こいつに踊らされて頭がおかしくなってるんだろう。でも、そんなことはどうでもいい。もっともっと、ケツの中を虐めてほしい。オレの頭の中はそれだけだ。

「そっかそっか。……じゃあ、さっきみたいに両手でお尻を拡げて。思いっきりね。そうすれば扱きたくても扱けないからね」

 言われるがまま、オレは力を込めてケツを掴んで思いっきり拡げる。壁の向こう側に、オレのケツの穴を差し出すように。早く中に刺さったままの指を動かしてほしくて、自然と腰を壁に押し付けてしまった。トイレを隔てる壁が軋む。

「はははっ、本当に正直だねぇ。……よし、良い子にはちゃんとご褒美をあげないとね」

 そう言いながら、壁の向こうのそいつは指を引き抜いてしまった。ちゅぽ、と音を立てて指が居なくなると、言いようのない物足りなさがオレを襲う。

「あっ、な、なんで抜くんだよ……ひぎっ!?」

 抗議の言葉を言い終える前に、指とは違う、冷たいモノがねじ込まれた。ごつごつとしていて硬い。似たような感触を、オレは知っている。通販で密かに買った、大人のオモチャだ。

 オレが気づいたのとほぼ同時に、オモチャのスイッチが入れられたらしい。ぶぶぶぶ、と派手な音を立ててオモチャが震えはじめた。相変わらず狙いは正確で、ごつごつと尖った部分が、一番弱い部分を的確に震わせてくる。

「あ゛ッ、ひい……ッ!?」

 思わず背中を仰け反ってしまい、またも壁が軋んだ。指先よりは激しくないが、そのぶん絶え間なく、容赦もない。再び足ががくがくとし始める。

「はいはい、オモチャで感じてるとこ悪いけど、ちょっとお尻浮かせてくれる?このままだと『届かない』からさ」

 「届かない」ってどういう意味だろう。――――深く考えず、オレは上半身を前へ倒した。そうすることで膝が伸び、押し付けられたケツがずり上がる。向こう側からは、ちょうど股からぶら下がっているモノが見えるはずだった。――――そう思ってオレは、「届かない」という言葉の意味をようやく理解した。

「ひあっ!?」

 頭を下げて覗き込む。ぶらぶらと垂れ下がるチンコに、壁の向こうから伸びた長細い指先が絡みついていた。少しの間ふにふにと、感触を確かめるようにオレの竿を握っていた指は、突然激しく動いた。

「ひっ、あっ、だめ、あ、ぁああ……ッ!!」

 強く握られ、絞られるように扱かれる。ちゅくちゅくといやらしい音が立ち、握られた手の隙間からカウパーの汁がぽたぽたと垂れている。膝ががくがくと震え、そのままの姿勢を保つことが出来ず、オレは床に両手をついてしまった。あまりの気持ちよさに、まともに頭を働かせることができない。こんなの、気持ちよすぎる……!

「あ゛ッ、お゛ォ……ッ!た、たのむ、まって……ひ、ぃああぁ……!」

 情けない声で叫びながら、まるで乳搾りをされる牛みたいな格好でチンコを扱かれている。恥ずかしくて悔しいのに、気持ちよくてたまらない。他人に扱かれるのがこんなに気持ちいいなんて。

 突然、竿を扱いていた指先が止まる。恐ろしいほどの快感は止まったけれど、先っぽを摘まれふにふにと弄られるたび、腰が砕けてしまいそうな感覚に襲われる。

「はい、待ってあげたよ。どうする?こうやってずーっと、優しく触ってあげようか。そっちのほうがいいかな?」

 壁の向こうから声がする。甘い刺激に耐えられなくなって、オレは叫んだ。

「や、やだ……ッ!さっきみたいに、シコってくれよぉッ……!」

「ふふ、しょうがないなあ。シコシコしてあげる。その代わり、イくときはちゃんと『チンポイきます』って言うんだよ?」

 そう言った直後、オレを掴んでいた指先が動き出した。さっきよりもずっと強く、乱暴にオレのチンコを扱き立てる。オレはほとんど無意識のうちに叫んでいた。

「んお゛ォ!?あ゛ッ、イイ、ちんぽっ、きもちイイ……ッ!ひあっ、あ゛ァッ!!」


 頭の中と口が、直接繋がっているみたいだった。ちんぽが気持ちいい。もっと気持ちよくしてほしい。普段なら絶対に口に出来ない欲望が、喘ぎ声と一緒に溢れてくる。

 壁越しの手コキにちゅこちゅこやられて、三十秒も経たなかったと思う。切ない感覚がせり上がってくるのがわかったオレは、言いつけどおりに叫んでいた。

「あ゛ッ、んお゛ォッ!!……イ、イくっ……ちんぽっ、イき、ますぅ……ひぁっ、あ゛ぁああッ!!」

 なんとか言いつけを守った後、オレは射精した。股の間から、今まで見たことのないような濃さと量の精子がびゅるびゅると吐き出される。全身から力が抜けて、便座にもたれ掛かるように崩れ落ちる。ケツにオモチャを突っ込まれたまま、他人の手で扱かれて、手と足をがくがくと震わせて、今までで一番情けない射精だった。でも、今までに感じたことがないくらいに気持ちよかった。

「はぁっ、はぁっ、う、ぅ……」

 便器に顔を預けながら、乱れた息を整える。それだけ気持ちよかったのに、オレは物足りなさを感じていた。原因は分かっている。相変わらずケツに突っ込まれてるオモチャのせいだ。射精が終わった後も、オモチャがオレのケツを刺激しているせいで、ムズムズとしたこの感覚が消えないのだ。

「いやぁ、いっぱい出たね。どう?スッキリした?」

 相変わらずの調子で、壁の向こうのそいつは問い掛けてくる。もうその声に逆らう気も、取り繕う気も起きなかった。オレはケツに突き刺さったまんまのオモチャを引き抜いて、壁の向こうへと突き返した。

「まだ、ダメだ……こんなんじゃ、足りねえんだよ……ッ!」

 震える手で突き出したオモチャが、壁の向こう側へ吸い込まれていく。そして、向こう側のそいつは答えた。

「ま、そうだよね。……キミが本当に欲しいのは、こっちだもんね?」

 目の前の壁の穴から、ゆっくりとちんぽが顔を出す。オレはそれを、どこかうっとりとした気分で眺めていた。

↓次


fanbox post: creator/200535/post/1391880

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

連載第4話です!まぁ特にどんでん返しおなく堕ちましたね…‥

ラスト一回どこまで堕ちるかご期待ください!

 ちなみに穴のサイズとか位置関係とかの都合で1話と話に若干手を加えてます(小声)なぜ計画性を持てないのか…

(Fanbox)





AD
x
AD
x

相關作品