ブレイズハート小説版 第2話
「え……まだ、犯す……つもり、なの……?」 「当たり前だろ。言ったじゃねぇか、お前が壊れるまで犯すって。お前、まだ壊れてないだろ?」 ヴィランは顔を青ざめさせる雪菜から身体を起こすと、ペニスを引き抜きその場に仰向けに転がる。そしてぐったりしたままの雪菜を抱え上げると、自分の腹の上に載せた。 (こいつのチンポ、さっきあんなに出したのに……まだこんなに元気なの?) 雪菜のお腹に当てられた巨根は、未だに固く反り返っていた。鈴口からは精液がこぼれだしていて、欲望が止まらない様子が窺える。雪菜は背後から両手を引っぱられて身体を起こされ、逃げることはおろか倒れることもままならない。 「さて、次は……そうだな。体位を変えるだけじゃつまんねぇから、後ろも犯すか」 わざと雪菜に聞こえるように宣言したヴィランは、雪菜の身体を持ち上げ亀頭の上に載せる。勿論、亀頭が狙っているのは秘裂ではなく、その後ろにある小さなすぼまりだった。 「馬鹿……なの? こんなの、入るわけ……ないっ!」 「はぁ? こういうのに無理矢理入れるのがいいだろうが。お前も、死にたくなかったらせいぜい頑張ることだな」 雪菜は力を振り絞って下半身を逃がそうと試みる。だが、左右からしっかりと腰を掴まれている中で逃げることなど出来はしなかった。 「こんなもん、勢いで入れればなんとかなるんだよ。そら!」 「がぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!?」 腕と腰を勢いよく引かれ、極太の肉槍が雪菜を貫いた。体内で骨盤がメキりとひび割れるような音が聞こえた気がする。激痛とそれに伴う灼熱が脳天を衝き、雪菜は顔を振り上げて絶叫を続けた。 「がぁぁぁぁぁっ! あぁぁぁぁぁぁっ!」 「まだ先っぽしか入ってないのに、よくそんな悲鳴上げてられるな。途中でショック死すんじゃねぇぞ?」 「ぎぃぃぃぃぃっ! ひぎっ、ぎぅぅぅぅぅぅっ! 中、刺さって……あぐぅぅぅぅっ!」 内臓を巨大な肉塊で押し上げられる圧迫感に、喉から胃が吐き出されるかと思うほどの嘔吐感を覚える。尻穴は裂けているのか激痛と熱で痺れが絶え間なく続き、股関節がバカになって足に力が入らない。逃げだそうにもこれでは立ち上がることなど出来るはずがない。 「まだまだ入るぜ。そらよ!」 「うぐぁぁぁぁぁぁっ! がはっ、がっ、あぁぁぁぁぁぁっ!」 ついに雪菜のお尻がヴィランのお腹に着地してしまった。長大なペニスがそこにあったはずだというのに、今は根元まで雪菜の体内に押し込まれている。それを証明するかのように、雪菜のお腹はペニスの形に膨らんでいた。 秘裂の辺りからならだかな曲線を描いて膨らんでいる腹部。ただ丸く膨らんでいるのではなく、内側から棒状に伸びたそれは、ちょうど亀頭の辺りで大きく丸みを与え、鳩尾の下辺りまで到達していた。 「あ、あ、あぁぁぁ……お腹が、膨らんで……んぐっ、ぐぅぅぅっ!」 「いいねぇ、シャドウギアの女は全然壊れねぇ。俺の肉袋にしてやろうか?」 「ふざけ……ないで。誰があなたなんかの……うぁぁぁぁぁぁぁっ!」 掴まれた腰が引き上げられ、ペニスが勢いよく抜けていく。秘裂よりもさらに狭くすぼまったアナルが、肉竿に扱きあげられて激痛を訴えかけてきた。雪菜は目を見開き泣き叫ぶが、そんなことで痛みが軽減されるはずもない。焼け付く尻穴にまだ肉棒がしっかり咥え込まれている実感があり、苦しさは一向に収まらない。 「おっと悪いな。俺のカリでか過ぎて抜けないみたいだ」 「馬鹿なこと、言わないで……がぁぁぁぁっ! あがっ、がはっ、がはぁぁぁっ!」 十分に反論する余裕も与えられず、再び腰を引っぱられて肉棒が腹を内側から押し上げる。猛烈な吐き気に汚らしい悲鳴を上げると、またすぐに腰を持ち上げられ、そして叩きつけられる。 「あがっ、がはっ、うぇっ、うぇぇぇっ! 壊れるっ、んぁっ、ぐぁっ、あっ、がっ、がぁぁぁぁぁっ!」 「馬鹿なこと言うなよ。アナルを犯し始めたばかりなんだぞ? こんなので壊れてもらっちゃ困る。それに、シャドウギアはこの程度で壊れるかよ」 ヴィランの言葉は事実であるものの、内臓を抉るように肉棒で殴り続けられればただで済むはずがないのだ。腰を引き下ろされる度、お腹が異様なほど大きく膨らむ。と同時に腕も強引に引っぱられるせいで肩関節が外れそうになり、激痛が雪菜を苛む。直腸側から押しつぶされた膣道は、抽送の度にヴィランの精液を吐き出し、不快な水音を立てた。 「おー、出てくる出てくる。俺もなかなか出したもんだな」 「うる……さいっ、肉欲に溺れているだけの存在のくせに……んぁっ、あっ、あひっ、ひぃぃぃぃっ!」 ペニスが深く刺さったまま中でかき回され、嘔吐感が一気に膨れあがる。同時にアナルが執拗にこじ開けられ、痛みと熱に涙が止まらない。 「溺れてなんかいないだろ、俺は十分理性的だぜ? それともなにか、俺を肉欲に溺れさせる自信があるってか?」 ヴィランの言葉のひとつひとつが雪菜の神経を逆なでし、敗北を認め懇願することを許さない。もっとも、雪菜がこの程度で泣きを入れることなどない。先日の戦いで自分の弱さを見せつけられた彼女は、精神的にも以前より強くなっていた。だが、それだけに痛みも快楽も真正面から受け止めることになり、苦しみは以前よりも深くなってしまう。 「あぐっ、ぐっ、んぅぅぅっ! お腹がこんなに膨らんで……あぐっ。ひぐっ、うぐぅぅぅっ! はぁっ、はぁっ、でも、負けるわけには……んぁぁぁぁっ!」 「なに言ってんだよ、チンポ突っ込まれてる時点で負けてるだろうが。まだそんな寝言を言ってるなら、目を覚まして分からせてやる必要があるな!」 ヴィランは腰に回していた手を離し、無防備に晒されていた雪菜の巨乳を背後から掴む。突然強く掴まれた雪菜は、痛みに翻弄されている最中だというのに、思わず悲鳴を上げていた。 「ひぁぁぁぁっ!? なに、を……んっ、んくっ、んんっ! また胸を……んくっ、んぁっ、くぅんっ!」 「おっ、胸の感度はなかなかいいみたいだな。アナルを犯されてるのに気持ちよさそうに喘いでるじゃねぇか」 「喘いでなといないっ! んぐっ、ぐっ、うぅぅぅっ!」 声を漏らすまいと奥歯を噛みしめ唇をきつく閉じるが、破壊的な抽送はそんなわずかな抵抗も許しはしない。肉の杭がねじ込まれて腹を膨らませる度に肺の空気が強制的に押し出され、雪菜の意志を無視して口が開く。 「んがぁぁぁぁっ! かはっ、はっ、んぁっ、んっ、ふぁっ、はぐっ、ぐっ、あぁんっ、んんんっ!」 「俺には気持ち良すぎて悲鳴を上げてるように聞こえるぜ? それに、この乳首、すっかり固くなってるじゃねぇか」 「や、やめ……ひっ、ひぃぃぃっ! やっ、あっ、んぁっ、んんっ、んくぅぅぅっ!」 固く尖った乳首にヴィランの爪が押し当てられ、突いたり弾かれたりと乱暴な扱いを受ける。だが、肛虐の痛みと比べればくすぐったいほどの痛みに、敏感になった雪菜の身体は反応してしまっていた。 激痛に埋め尽くされる中に湧き上がる微悦は、ことさらその存在をアピールしてくる。乳首から伝わる快感に羞恥心が刺激され、涙を流しながら顔が火照っていった。 (こんな乱暴に犯されているのに、また身体が熱くなっていく……。感じたくなんてないのに、どうして抗えないの?) ヴィランとの戦いの中で開発された雪菜の身体は、彼女の意志とは裏腹に快感をさらに引き出していく。だが同時に、快感を覚えなければ雪菜の精神はとうの昔に崩壊していた。それほどまでに、ヴィランによる凌辱は苛烈で想像を絶するものなのだ。 「ほら、素直に言えよ。おっぱいを揉まれて、乳首をいたぶられて感じてるんだろ? 苛められて感じるように仕込まれてるんじゃねぇのか?」 「ゲスな考えしか持たないお前に、何が分かる……んぁぁぁぁっ! ひっ、はひっ、ひぐっ、ひぎっ、ぎぃぃぃぃぃっ!」 「分かるぜ? 乳首をいたぶられるほどマンコから愛液がだだ漏れになってることも、俺のチンポでケツを犯されながらも身体が悦んでるってことをなぁ!」 乳房を鷲掴みにされたまま腰が打ち上げられ、根元までねじ込まれたペニスがさらに内臓を押し上げる。雪菜の身体は弓なりになりながら胸を突き出し、さらなつ激痛と激悦に悶絶した。 「ひぁぁぁぁぁぁぁっ!? あがっ、がはっ、はひっ、ひぃぃぃぃっ! 犯されて、感じるわけがっ、んぁっ、あっ、あぁぁぁぁぁっ!」 深くねじ込まれたまま小刻みに腰が打ち上げられ、体内から膣へと振動が加えられる。先程の凌辱ですっかり快楽器として目覚めてしまった膣道は、直腸から与えられる振動でも強い肉悦を覚え、雪菜を絶頂の崖っぷちへと追い込んでいく。 「うぁっ、あっ、ひっ、ひんっ、んっ、ひぅぅぅっ! や、やめっ、んぁっ、あっ、あひっ、ひっ、ひぃぃぃぃっ!」 「ははっ、もう取り繕う余裕もなくなってきたか? だったら俺も本気で突いてやるぜ。その方が痛くて気持ちいいだろうからな」 (まだ本気じゃなかったっていうの!?) ヴィランの言葉に、すっかり身体から力の抜けた雪菜は心の中で弱音を吐く。両腕を掴まれ、ヴィランの上にどっしりと座らされた状態で結合している今、雪菜に自由などない。それでもなんとか耐えようとお腹に力を入れた瞬間、両腕が勢いよく下へと引っぱられた。 「ぎぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!?」 腕がちぎれるかと思うほどの激痛に絶叫が上がる。それに追い打ちをかけるように、ヴィランが腰を突き上げてきた。既に密着しているというのに腰を持ち上げた速度はあまりにも速く、その衝撃が腹を突き抜ける。 「んぎぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃっ!」 一瞬、お腹が破裂したのかと思うほどの熱と痛みが脳裏に叩きつけられる。だが、シャドウギアを身につけた雪菜はそれでも死なない。ヴィランは腰を落として地面に着地すると、また雪菜の腕を引きながら勢いよく腰を打ち上げた。 「がぁぁぁぁぁぁぁっ! あぎっ、ぎっ、ぎひぃぃぃぃぃぃぃぃっ!」 ひと突きされる度に身体が破裂するかと思うほどの衝撃に頭の中が爆発し、意識が飛びそうになる。長い青のポニーテールを揺らし、全身の神経が張り詰めたまま、暴力的な抽送は執拗に雪菜の中を貪る。 「ははははっ! 最高にいい悲鳴じゃねぇか! いいぞ、もっと俺を楽しませろ!」 「あがぁぁぁっ! あぎっ、ぎひっ、ひぎっ、いっ、いぃぃぃぃっ! がはっ、うがっ、あっ、あっ、あぁぁぁぁぁぁっ!」 ペニスが打ち上げられる度に雪菜の秘裂から精液と愛液が勢いよく噴き出し、雪菜の耳を犯す。激痛の中でも乳房を乱暴に揉みしだかれながら乳首を責め立てられ、快感に火がついていく。身体中が焼けるように熱くなっているが、もはやそれが痛みのせいなのか快感のせいなのか判別がつかない。 「きたきた、滾ってきたぜぇ! こっちにも出してやる。たっぷり飲ませてやるから派手にイキな!」 「イク……ものかぁっ! あがっ、がっ、あぁぁぁぁっ! あひっ、ひっ、ひぎっ、ぎぃぃぃぃぃっ!」 心を折られまいと必死に叫んだものの、すぐにラストスパートをかけてきた抽送に悲鳴を上げさせられる。穿たれるペニスに何度も意識が飛ばされそうになり、焼けるような熱にうなされて朦朧としてきてしまう。抗う体力も気力も奪われていく中、それでも必死に負けまいと奥歯を噛みしめる。 「無駄無駄、いくら耐えようとしたって抗えねぇんだよ。それを今から照明してやるぜ!」 (く、くるっ! 次こそは、なんとしても耐えないと……) そんな雪菜の決意を容易に押し流すように、再び大量の射精が彼女に襲いかかった。 「んぎぃぃぃぃぃぃぃっ! ぐっ、うぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅっ!」 お腹がペニスの形にはっきりと膨らんだ状態から、ヴィランの射精が雪菜を襲った。今までに以上に強い圧迫感に、目の前が真っ赤になる。同時に腹の中の圧力が壮絶なまでに増大し、腹部が風船を膨らませるように大きくなった。 (お腹が……破れる……っ! 苦しい……っ!) 「はははっ! どうだ、腹一杯に精液を流し込まれた気分はどうだ? 最高だろう?」 「ひぎぃぃぃぃぃぃっ! ぎぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅっ!」 少しでも反論しようと口を開けば、そこから先は鳴き声か絶叫しか出てこない気がした。恐怖による悪寒と、快感による火照りと、激痛による刺激がない交ぜになり、雪菜の意識を断ち切ろうとしてくる。目の奥で何度も火花が弾け、心が折れそうになった。 「へぇ、まだ耐えるのか、頑張るじゃねぇか。だが、いつまで耐えられるかな?」 ふと、乳房を掴んでいる手が離れた。それが何を意味しているのか考える余裕など、雪菜にあるはずもない。その結果、雪菜は自らの身に起きたことを理解出来ないまま絶頂させられた。 「うぶぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!?」 奥歯を接着剤で貼り付けたかのように噛みしめているはずだった。腹部の圧迫感に、必死に耐えているはずだった。なのに、目の前が真っ白になると同時に意識が一瞬飛び、雪菜は絶叫していた。 「そら、もう一発! ついでにもう一発だ!」 「うぶぉぉぉぉぉぉぉぉっ!? ごぼっ、うぶぇっ、ぶぇぇぇぇぇぇぇぇっ!」 腹部に衝撃が走ったかと思うと、雪菜の努力など一切無視して意識が飛ぶ。全身が激しく痙攣し、口と尻穴から激しい噴出音を聞かされながら絶頂していた。 (なにが、起きて……るの? 口から、何かを、吐き出してる……? まさか、まさか……!) 雪菜の目が、怯えながらも下に向けられる。そこには振り上げたヴィランの拳が勢いよく限界まで膨らんだお腹を殴打する瞬間が映し出されていた。 「うぶぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!?」 大量の精液は雪菜の腹の中に蓄えられ、それが腹を殴打することで強引に射出されていた。出口など二つしかない。その二つから、白濁が噴き出す。 「うぶぇぇぇぇぇぇぇぇっ! うぶぉぉぉぉぉっ! ごぼっ、うぶぉっ、ごぼぉぉぉぉぉっ!」 噴出する精液は口を内側からこじ開け、雪菜の最後の抵抗を難なく奪い去った。食道を犯し、喉を焼き、舌を蹂躙しながら吐き出される精液。同時にアナルをさらに拡張しながら下からも噴き出していく。それが、ヴィランの射精と同時に行われているのだ。 (射精が終わるまで、吐き出し続けさせられるっ……! だめ、このままでは本当に……) 「そら、もう一発だ。盛大な悲鳴を上げやがれ!」 「ぐぶぉぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」 目を剥き、天を仰ぎながら泣き叫ぶ雪菜。腕を引かれて胸を反らし、大きく膨らんだ腹は拳を打ち込まれてめり込んでいる。大量の精液が噴水のように口と尻穴から噴き出し、雪菜を染め上げていった。 「うぶぉぁ……っ、うぶぇっ、うぇっ、ごほっ、げぼぉ……っ」 射精が終わってからも、雪菜の嘔吐は続いていた。それもそのはず、胃の中から口の中まで精液に満たされているということは、満足に呼吸も出来ないのだ。精液嘔吐を繰り返し、ようやく息を吸えるようになったものの、身体はふらついて朦朧としている。 「なんだよ、気絶したのか……。ま、こんだけやって壊れてないだけましか。……よっと」 ヴィランは雪菜からペニスを引き抜き、近くに粗雑に投げ捨てる。 「うぶぇぇぇぇっ!」 雪菜は地面に倒れた衝撃で口と尻から大量の精液を吐き出し、小さく身じろぎした。両足をだらしなく広げたまま痙攣し、目も剥いている。そんな雪菜の様子を嘲笑いながら、ヴィランは身体をほぐすようにストレッチを始めた。 「さてと……次はどうやって犯すかな。対面であいつの泣き叫ぶ顔を見ながら犯すのもいいな。逆さ吊りにして犯すのも面白いか……」 「ヴァイ……スト……」 「うん? 何か言ったか?」 背後で雪菜の声が聞こえ、ヴィランは振り返ろうとした。だが、その視界は斜めに傾き、地面が彼の横に張り付いた。 「なん、だ……これ? なにが、どうなってやがる」 視界の左側に広がっている地面に、ヴィランの手足が転がっている。鋭利な刃物で切り裂かれたかのようなそれは、黒い霧を伴って消えつつあった。そして、その先に立っているのは白濁にまみれた雪菜。その手には、二振りの剣が握られていた。 「お前、いつの間に……」 「私を手放した以上、刀を取られることを警戒すべきだったわね」 雪菜が刀を振り上げると、ヴィランの視界が斜めにずれこむ。そして、ヴィランはそれ以上口を利くことも出来ずに消滅していった。 「だいぶ苦戦してしまったわね。少し休憩しないと……」 雪菜は辺りにヴィランの気配がないか警戒しながら、洞窟の岩肌に背中を預けて座り込む。犯されながらも刀の位置を確認し、隙を見て反撃する機会を窺っていたのだ。とはいえ、ヴィランが警戒を怠らなければ、反撃の一撃も防がれていたことだろう。そもそも、犯されるような失態を招いたことに、雪菜は悔しさを感じていた。 「修行の為にここに来たのに、おいそれと戻れなくなったわね」 雪菜は休息がてら、ここに来た時のことを思い返し始めた――。 「あれが洞島(ほらじま)……」 小型の船に乗り、潮風に長いポニーテールを揺らしながら、雪菜は呟く。船に乗っているのは雪菜以外にはおらず、後は無口な船長が船を操作しているだけだ。直接洞島に向かうルートはなく、近くにある島から経由しての到達。島は小高い山にびっしりと木が生え、まるで海から直接山が突きだしている印象さえある。 だが、迂回していくと平地が見え、しっかりとした港が見えてきた。数は多くないものの民家らしきものもあり、人が生活していることが窺える。 船が到着すると、雪菜は荷物を担いで桟橋へと降り立つ。そこには一人の男が立っていた。 「ようこそ、洞島へ。案内役の磯崎です」 「出迎えありがとうございます、十乃川雪菜です」 出迎えにきた男はTシャツにスラックスという、町役場の人間のような格好をしている。ボタンを上まで留めず、短く刈った髪を見ると、ドラマに出てくる刑事を思わせた。 「磯崎さんはこの島の方ですか?」 「ええ、一応ここの出身ですよ」 一応、という言葉に少しひっかかりを覚えたものの、雪菜は深く追及はしない。問いかけたのも、単に聞いてみただけで特に興味があるわけではなかったからだ。 「今回はお一人ということですが、他の方はいつ頃来られるのでしょう?」 「いえ、今回は私一人です。他に誰か来る予定があるんですか?」 「そういうわけではないのですが……。あそこに行かれる方は、大抵複数人で入られるので」 「一応許可はいただいているので問題ないかと思います」 「ああ、失礼しました。別に実力を疑っているわけではないので……。ではまず、宿の方にご案内しましょう」 「いえ、このまま直接現地に向かいます。案内していただけますか?」 「えっ? 分かりました」 磯崎は少し驚いたものの、特に反論することもなく歩き出す。雪菜もそれについて歩き出した。 洞島は沿岸部こそ平地だが、歩いているとすぐに山の中に入ってしまう。鬱蒼とした山の中は道といえるほどのものはない。それでも、磯崎はなんなく山道を登っていく。よく見ると、靴は革靴ではなく登山向けの靴を履いていた。 「さっきの港まで戻って左に行くと集落がありますので、もし物資が足りなくなったり、休憩したくなったらいつでもお立ち寄り下さい。私も常駐してますし」 「分かりました」 この洞島は、名前に洞とあるように無数の鍾乳洞がある。その中でも特に大きい洞がひとつの社として扱われていた。その奥にはヤシャヒビにも匹敵する強大な蛇神が封印されているらしい。その力があまりに強大で、封印してもなお漏れ出る妖気によって、怪異が定期的に発生している。シャドウギアはそれを逆手に取り、修行の場として利用していた。 普段は怪異が発生しない為、集落に人が住んでいるものの、怪異が発生すると洞島の近くにある腑島(はらじま)に連絡が行き、怪異を倒す為の面々が招集されることになっていた。 先日の戦いで力不足を実感していた雪菜は、修行の為にここへとやってきていた。洞島から怪異出現の報告は来ていないものの、鍾乳洞の奥には怪異が定期的に現れており、未然にそれらを排除することで修練をすることが出来るのだ。 「集落には戦闘力の低い者もいるので、怪異が噴き出す前に来てくれる人がいると助かります」 「そうですか。時期的にそろそろ出てきそう、というのは聞いていましたが」 「そうですね。ですが、周期も絶対ではないので……」 そう言いながらも、磯崎は確かな足取りで山を登っていく。背後から見ているだけでも、それなりに戦えることは窺いしれた。おそらくは、怪異が下りてきた時に対処出来るよう、訓練を受けているのだろう。 小一時間ほど山を登っていくと、雪菜が手を上げれば届きそうなほどの洞窟が姿を現した。後ろを振り返ると立ち並ぶ樹木によってこの場所が覆い隠されているのが見て取れる。木々の間から集落の存在も見て取れた。 「ここは修行場の入り口のひとつです。島の者はここには基本的に近づかないので、荒れ放題ですけどね」 荒れている、というよりも自然そのままという方が近い。軽く中を覗いてみたものの、奥は暗くなっており何も見えなかった。 「入り口からゆるやかな傾斜になってまして、その奥まで行けば明かりがありますよ。でも、念のため明かりは持っていった方がいいと思います。用意はされていますか?」 「はい、それは大丈夫です」 雪菜は背負っているリュックを軽く叩く。リュックと言っても片手で持てそうなサイズではなく、雪菜の胴体がすっぽり収まりそうなほどの大きさだ。そのリュックはパンパンになっており、それなりの重量があるのを感じさせる。 「それにしてもすごいですね。それだけのものを担いでここまで来たのに、息ひとつ乱れてないなんて」 「このくらいは鍛錬にも入らないですよ」 「さすが……やはり、ここに修行に来られる方達は格が違いますね」 若菜の姿だけを見れば、若い少女にしか見えないはずだ。それが自分よりも遥かに強い存在だということに、素直に感心しているように見えた。 「そう言えば、この奥に蛇神が封印されているんですか?」 「まあ、おそらく最奥まで行けば封印されてるんだと思うんですが、あいにく私は行ったことがないので。もっとも、結界が張られていますから、そもそも近づくことも容易ではありませんけどね」 「でしょうね。それに、封印されてもなお湧き上がる妖気は身体にも悪いですし」 「まったくです。素直に封印されてくれていれば、私ももっと楽なんですけどね……おっと、余計な愚痴でしたね」 「いえ、あなたのような人がいていただけるので、私達もここを利用出来ているので」 修行の場と言っても、実際は制御しきれていないのと同じだ。いつ怪異が鍾乳洞から溢れ出してくるか分からない状況での生活は、精神的に楽なものではないだろう。それを組織の訓練場として利用している身としては、心の底からありがたい限りだ。 「それにしても……随分と軽装なんですね。本当に大丈夫ですか?」 「問題ありません。ここには数程度は籠もるつもりで来ていますから」 雪菜はショートパンツに長袖という普段と変わらない衣装に、少し大きめのリュックを背負っているだけだ。とてもこれから鍾乳洞に入る者の装備には見えない。 「食糧などはこのリュックに入れてありますので。不測の事態や、修行を切り上げる際も集落の方に向かいます」 「分かりました。それでは無事に帰還されることを祈っております。では、私はこれで」 磯崎は軽く礼をすると、山道を下りていった。彼の姿が見えなくなると、雪菜は改めて鍾乳洞の方に目を向けた。 「……さてと」 雪菜は荷物を下ろし、念の為に食糧などの確認を始める。特に不足がないのを確認すると、シャドウコアを取り出し握りしめる。 「装影! シャドウジェネレート!」 雪菜の身体が一瞬にして闇に染まったかと思うと、私服は闇に溶けるように消え、代わりに雪菜の肌に密着するようなスーツを身にまとっていた。首に巻かれた青いマフラーが、長いポニーテールと共になびく。自分の力が静かに充実していくのを感じながら、雪菜は二振りの刀を握りしめる。その刀も、雪菜が意識しただけで現れたものだ。 そばに置いたリュックを背負い、小さく息を吐く。磯崎は何も言っていなかったが、鍾乳洞の入り口から既に妖気が立ちこめていた。 「修行の場として奥の方にヴィランが現れているとは聞いていたけれど、これは案外出口近くまで来ているのかもしれないわね。ちょうどいい、探す手間が省けるわね」 雪菜はひとりごちると、音もなく鍾乳洞の中へと踏み込んでいくのだった……。 <第2話 終>
