”適性強化合宿”
※
宮郷 航(みやさと わたる)は、ごく普通の中学生である。小学校から上がったばかりでやんちゃが抜けないところもあるが、素行が悪いという程でもない。成績も良くはないが、補講が必要になるほどでもない。交友関係も至って健全で、教師たちから目を付けられる理由などどこにもなかった。
そんな航が、この「合宿」に参加したのが二週間前だ。今日も航は研修施設の一室で目を覚ます。寝間着を脱ぎ捨て、着用を義務付けられている体操着に着替えているところに、頭上から声を掛けられた。
「おはよ、ワタルくん」
二段ベッドの上からひょこりと顔を覗かせるのは、クラスメイトの金森 紡(かなもり つむぐ)だ。大きな瞳と栗色の髪は、同性の航から見ても可愛らしいと言える容姿で、クラスの女子たちからも人気がある。今もにこにこと、人畜無害そのものの笑顔を航に向けている。
「……おはよう」
「さッ、今日も一日がんばろー。ボクも精一杯手伝うからね?」
二段ベッドから降りてきた紡は、航に向けて手を差し出す。航は無言でその手を取り、ベッドから立ち上がった。
部屋を出て、階段を下り、渡り廊下を通って体育館へ。ごつごつと大仰な扉を引くと、そこには「いつもの」光景が広がっていた。
「あ、あッ……ひ、ぁああッ!」
「だ、だめ、イっちゃ……んぁああッ!!」
まだ幼さが残る少年たちの喘ぎ声。だだっ広い体育館の板張りに、何枚もの白いマットが敷かれ、そのマットの上で少年たちが絡み合っている。航の手を引く紡は、空いているマットの上に航を導くと、張り付いた笑顔を崩さぬまま、言った。
「じゃ、ボクたちも始めよっか?まずは『挨拶』からだね」
航は黙って、ついさっき履いたばかりの短パンを降ろす。下着も一緒に脱ぎ捨ててマットに寝そべり、露わになった下半身を紡に見せつけるように両手で足を持ち上げる。羞恥に顔を赤らめながらも、しっかりと紡を見つめながら、航は言った。

「……きょ、今日も……オレのザコちんぽがっ、少しでもオトナになれるよう……鍛えてくれッ!」
平々凡々な中学生である宮郷航は、一つのコンプレックスを抱えていた。――それは、自身のペニスのサイズについて。
小学校の頃は気にもしていなかったのに、林間学校でクラスメイトと共に風呂に入ってからというもの、どうしても意識してしまう。運動部に所属し、筋力も体格もそれなりに恵まれている航にとって、股間にぶら下がっているオスとしての象徴が、小学生のそれと何ら代わり映えしないというのは、大いにプライドを傷つける事実だった。時間が解決するだろう、という楽観的な考えは、プールの時間に盗み見た、クラスメイトの「大人」に近づいたそれを見れば吹き飛んでしまう。毛も生えず、勃起しても先端がすっぽりと覆われたままのそれはいかにも惨めで、恥を偲んでスマートフォンでサイズを大きくする方法を調べても、出てくるのは胡乱なサプリメントの宣伝ばかり。悩みを解決する緒を見つけられず、悶々とした気持ちで夏休みを過ごしていた所に、青少年厚生局(お役所の一つだ、と母は言っていた)から手紙が航の元に届いたのだった。
――あなたの男性器のサイズは、当局が定める「健康な男児」の基準を満たしていません。そのため、「個人に適した最適の身体」を獲得していただくべく、「適性強化合宿」への参加を命じます。
容赦のない物言いに、航は強く憤った。だれが行ってやるものかと反骨心をむき出しにして。しかし、それでも航が参加を決めたのは、通告分の最後に、こんな文言があったからだった。
――この合宿を通じ、あなたが恥じることのない肉体を獲得し、心身ともに成長することを期待しています。
「恥じることのない肉体」。その言葉の響きが、どうしようもない蠱惑となって、航の心を惹きつけた。
※
「んっ、ぅ……あっ、ああうぅ……!」
周囲から絶えず喘ぎ声が響いているような状況では、自然と声が大きくなるのだと航は知った。晒された航の後孔には、細長い紬紡の指先が突き立てられており、ぐねぐねと動いて内側を責め立てる。指の動きに合わせ、股の付け根にちょこんと乗っかるそれが、ぴくぴくと情けなく痙攣する。
「あははっ、おツユだらだらだ。マッサージが良く効いてるね」
言いながら、紡はもう一方の手で、硬くなった航のペニスを弄ぶ。窄まった包皮の内側に指先を割り入れ、敏感な亀頭をくるくると撫で回す。
「はひっ……あっ、ひゃあう……!」
情けない声を漏らし、航は思わず口を手で覆った。すると紡が冷ややかな声で、
「こーら。……手で口を押さえるなんて、男らしくないよ?ダメだよそんなんじゃ」
と言った。
紡に言われるまま、航は手を降ろす。逆らうわけにはいかない。航の願いを叶えてくれる唯一の存在、それが紡だ。
合宿所に到着し、最初に受けた講習で教えられたのは、「ペニスのサイズを大きくするには、体内の前立腺という器官を刺激し、ホルモンの分泌を促進する必要がある」という事実だった。そしてこの合宿では、自分では刺激しづらいその部分を刺激するために「パートナー」が必要になる、とも。そしてその「パートナー」こそが紡だった。
――へぇ、航くんのちんちん、こんなちっちゃいんだね。……大丈夫、ボクがきっちり育ててあげるよ。
顔合わせの際、顔から火が出る思いでズボンをずり降ろした航に対して、紡はそう言った。同級生で、しかもクラスメイトの紡に自分の恥部を晒すなど極みだったが、しかし自信に満ちた紡の表情に、他では感じられないような安心感を覚えたのも事実だ。
だから航は紡の言葉に従う。この二週間、紡が命じるならば、どんな恥辱も甘んじて受け入れてきた。それこそが航の希望――コンプレックスを克服し、「恥じることのない肉体」を得るための唯一の方法なのだから。
「ひっ、ぃ、あっ……んぅう……」
好き勝手に掻き回していた指先が、ちゅぽんと音を立て引き抜かれる。散々内側を圧迫していたその感触が喪われると、途端にじくじくと疼き始める。いや、指先の動きによって「紛れていた」疼きが、はっきりと感じ取れるようになっただけなのかもしれなかった。――この所、航の身体……というよりも尻穴は、ふとした拍子にどうしようもない疼きがこみ上げてくるようになっていた。骨盤をじわじわと溶かすようなその疼きは、自分ではどうすることも出来ない。衝動を収めようと自分で指先を潜らせても、収まるどころか膨らんでいくばかりだった。
紡の指先は、航のそれよりも遥かに航自身の「イイところ」を把握していたが、それでも足りない。もっと熱く、もっと乱暴に、自分の一番奥の部分を蹂躙してほしい。――抗い難い衝動が、航の心を侵食していく。
「ふふふ。お預け食らったワンちゃん見たいな顔だよ、ワタルくん」
鈴のような笑い声を響かせながら、紡が航の顔を撫でる。今まで自分を陵辱していた指先が触れ、粘ついたローションが頬にへばり付いた。文字通りの目と鼻の先に感じる紡の温もりに、航の身体が歓喜に震える。こうして紡が航に触れるのは、「儀式」が始まる合図だからだ。
――――講習で学んだもう一つのこと。それは、良質なオスの体液を「注がれる」ことで、自らのオスもまた成長していく、ということ。
今まさに、紡が恭しい手付きで自らのズボンをずり降ろす。ぶるん、と勢いをつけて跳ね出たそれは、太さも長さも形も、航のそれとは全く違う。意地汚く勃ち上がる航の「おちんちん」の前に差し出されば、その差は残酷なほど歴然だった。
「うーん、まだおっきくならないねえ。がんばってボッキしてるけど『ザコ』のまんまじゃん」
「あ、ぁ……ぅ……」
屈辱と恥辱に全身を燃え上がらせながら、それよりなお強い興奮を航は感じていた。下半身の疼きは、まるで獲物を前にした獣のような獰猛さをもって航を駆り立てる。
「……やっぱり、指だけじゃ足りないか。もっと欲しい?」
みっともなくひくつく尻穴を見下ろしながら、どこか焦らすような口調で紡は言った。紡が航の言葉を求めていることが、航には分かった。
「恥じることのない肉体」を手に入れるために。そう自分に言い聞かせながら、航は太腿に指先を食い込ませ、むっちりとした尻肉を押し拡げる。腰を浮かせ、自らの恥部の、皺の一本一本さえ認めることができるように全てを差し出して、航は乞うた。
「たの、む……オレの、ケツんなか……いっぱいになるくらい、チンポ汁、種付けしてくれ……ッ!」
航が言い終えると、紡の表情が歓喜に歪む。逃げないように確と航の太腿を押さえた紡は、屹立したペニスを迷いなく、航の後孔へと突き立てた。
「ひ、ぃッ……あッ、が……!」
圧倒的な熱に貫かれ、圧迫感に呼吸すらままならなくなる。しかし紡はお構いなしに、乱暴に腰を振って航の身体を揺すった。
「ひっ、あっ、あッ……ひぅ、うっ、んあァッ……!」
ピストンの度に、身体の奥から押し出されるように喘ぎが漏れ出る。それが卑猥な抽挿の音と絡み合って、航の聴覚を塗りつぶしていく。
「もっと、締めてよ……ッ!これじゃ、溢れちゃうよ……?」
激しいピストンを繰り返しながら、幾ばくか余裕のない声で紡が言う。言われるまま、航は必死で下腹に力を込める。僅かに顔を歪めた紡が、上半身を乗り出して、二人の結合部に更に体重を掛けた。
「ひ、ぁあッ!?あっ、ぁあ……ッ!」
「へへっ……これなら奥まで届くでしょ……ほら、ほらッ!」
じゅぶっ、じゅぶっ。尻穴から響く音は膨らむように大きく、激しくなっていく。航の手は自然と紡の後ろへと伸び、精一杯の力を込めて小さな背中をかき抱いた。
何度も奥を突き立てられ、湧き上がる快感に、航の脳裏は白く塗りつぶされていく。次第に喘ぐ気力すら奪われ、意識が途切れかけている所に、不意に紡の声が響いた。
「はやく、ちんちんおっきくなればいいのにね……ッ?そしたらワタルくんも、こんなことしなくて済むでしょ……ッ?」
耳元で囁かれたその言葉に、航の意識が急速に覚醒していく。そう、それは誰にでもわかる道理だった。航の願いが成就すれば、こんな背徳的な行為など、する必要がない。
「ッ……!きっ、つ……!」
瞬間、航は全霊の力を込めて紡を締め付けていた。まるで今自分を貫いている熱を、奪われまいとするかのように。何故そんなことをしたのか自分でも理解できないうちに、紡の顔がサディスティックに歪んだ。
「ったく……いきなりこんな締め付けるなんて、生意気だなぁ……ッ!」
「あっ、ごめ……ひっ!?あっ、んぁああッ!!」
謝る暇もなく、紡はさらに激しく腰を打ち付けはじめた。一旦腰を浮かして、全体重を掛けて一気に奥に貫く。自分の後孔がめくれあがり、ずるりと肉竿が引き抜かれたかと思えば、餅付きの杵よろしく一気に振り下ろされる。先程までの水っぽい音とは違う、ぶぷ、という空気が弾けるような下品な音が響き渡る。自らの身体が圧倒的な力で犯される様を、航はまじまじと見た。その淫靡さに目眩を覚えながら。
「ははッ……なんだ、乱暴なほうがイイんだ?今度は最初から、激しくしてあげるね……ッ!」
「そ、そんな、ちがッ……ひぃうっ!?」
言葉が終わる前に、紡が航のペニスを乱暴に扱く。皮の間からしとどに漏れ出した先走りが、くちゅくちゅという音を響かせた。
「違わないでしょ、こんなにビチョビチョにしてさ……!素直にっ、なりなよッ!!」
激しく腰を打ち付けたまま、紡の指先が航の幼茎を虐める。包皮の上からくりくりと捏ねくり回され、航は絶叫した。
「あ、ひぃう……ッ!!き、きもち、きもちい、ですぅ…‥ッ!」
うわずり、呂律すら怪しい無様な喘ぎ。守るべき矜持を全て捨て去り、航はただ快感に泣き叫ぶ。横に並ぶマットの上に組伏せられた少年たちがそうするように。
無限に続くかと思われた快楽の地獄にも終わりはやってくる。顔を歪ませた紡が乱暴に航の腰を引っ掴んだのが、その合図だった。
「ッ……さぁ、出すよ……ッ!しっかり受け止めてね……ッ!!」
紡はそう言うと、今までで一番強い力で腰を打ち付けた。
「ぃっ、あッ……!!」
奥の奥まで貫かれ、航は声にならない叫びをあげる。それと同時に、最奥にどくどくと熱いモノが注がれているのを感じた。奥底からじわりと広がっていく熱に、航は力が抜けそうになる。
それでも、紡が役目を終えた肉竿を引き抜く時は、残る力を全て込めて下半身を戒めた。せっかく注いでくれた紡の種を、たとえひと雫でも漏らさないように。
「ふう……まずは、今日一発目だね。お疲れさま、ワタルくん」
ずるりとペニスを引き抜いた紡は、先程のサディスティックさが嘘のような、優しげな笑みを浮かべている。窄まった尻穴を見せつける間抜けな格好のまま、航は言葉を返した。
「う、ん……ありがとな、紡…………」
ぎこちなく言いながら笑みを浮かべる。その拍子に、せき止めきれなかった白濁が、窄まった後孔から一筋、とろりとこぼれ落ちた。

※
研修室の一室に男はいた。男はこの「適性強化合宿」の責任者で、この合宿の参加者たちを監督し、そして指導する立場でもある。
こんこん、とノックの音が響く。どうぞ、と答えると、開いたドアから幼い顔が覗く。金森紡が、鼻歌交じりに部屋に入ってくる。
「はい先生。今日のノートです」
差し出されたノートを受け取り、中身を見分する。そこには、「パートナー」である宮郷航との訓練の様子――有り体にいってしまえば、情交の様子が、詳細に記述されていた。
「彼との関係は良好のようだね。……まぁ君は『トップ』だから心配はしていないが」
「もちろん、大丈夫ですよ。……ワタルくん、ちょっとマゾっ気があるっぽくて、いつもより激しめに責めたら、もうすごい感じちゃったみたいで……可愛かったなぁ」
紡の言葉に、男は頷く。
「……どうだい、優れた『オス』として成長する感想は」
「そりゃもちろん、サイコーですよ!最初は戸惑ったけど、ワタルくんがどんどんボクの虜になっていくのが分かって、……もう、楽しくてしょうがないです!」
歌うように語ったあと、紡は神妙な表情で、己の半身に視線を落とした。
「……ボク、こんなチビで童顔なのにココのサイズだけは大きくて、友達にもからかわれて……それがすごくイヤで。でも、今回の合宿で自信がつきました。これは、全然恥ずかしいことじゃない、誇るべきことなんだ……って」
紡の言葉に、男は静かに破顔した。それは紛うことなき教育者の表情だった。
「そうとも。これはキミのような『優れたオス』を育成するための合宿なんだからね。彼を使って、どんどん男としての自信を身につければいい」
――男が語った内容こそが、この「合宿」の本質だった。紡のような「優れたオス」の才能が埋没してしまうのを防ぐため、「オスとしての成功体験」を提供する――。青少年厚生局の適性強化合宿の要綱には、そのように記されている。
「使う、って……ワタルくん、かわいそう。そんなモノみたいに……」
「気にしなくていい。……君たちの番いに選ばれる少年たちは、どうせ優れたオスにはなり得ない『落伍者』たちだからね。君らの価値観で測っても意味がないんだよ」
吐き捨てるような口調だった。これもまた、この「合宿」が持つ一つの真実である。航たち「落伍者」は、紡たちの自我の形成に利用する、「苗床」くらいの価値しかなかった。少なくとも、これを企図した者たちにとっては。
「……それに、彼らにとっても悪い話ではないよ。『オス』としての才能が無いということは、別の才能が身体に眠っている。……その可能性が高いんだ」
「あっ、やっぱりそうなんですね!ワタルくんスッゴいもんなぁ……」
男の語る言葉に、紡は目を輝かせて頷いた。
「今日、試しに『おっきくなったらこんなことしなくて済むのにね』って言ってみたんです。そしたらもう、捨てられた仔犬みたいな顔して、すっごい締め付けてきて……完全に『メス』って感じで!」
「彼はこの合宿の参加者の『最下位』だからね。言い換えればつまり、彼がこの合宿の中で最も『メス』の才能がある、ということなんだよ」
オスとしての強さを持たない個体は、周囲のオスに屈服させられることで、「優れたメス」として開花する――それが男が所属している機関が下した結論だった。だからこの合宿は、「優れたオス」を創出することを第一義とした上で、副産物として「優れたメス」を創出することも期待されているのだった。
「彼らはどうあっても『優れたオス』にはなれない。……だからせめて、『優れたメス』として開発して、メスの悦びを享受する方が幸せなはずだ。この調子で彼を導いてあげてほしい。……彼が、些末なコンプレックスに悩む必要がないように」
男の言葉に、紡は神妙に頷いた。
「はい、頑張ります。ワタルくんが、立派なメスになれるように」
「その意気だ。ちゃんと調教出来たら、お友達にも見せてあげるといいよ。『優れたメス』は、そこにいるだけでオスの強さを高めてくれるから、いい刺激になるんだ」
「あっ、それいいかも!……いやー、二学期が楽しみだなぁ。今のうちに『芸』とか仕込んでおこうかな?」
「こらこら、気が早いぞ?」
紡と男が顔を見合わせて笑う。その笑い声は、疲弊して自室で眠りこけている航の耳に届くはずもなかった。
※
はい、ということでツイで言ってた前立腺強化合宿のネタです。
前立腺強化合宿ってなんだろう…と考えてるうちにテキストが膨らんでしまいました。もっとサクっと書きたいね……
後日挿絵を挿入して再掲いたしますのでもうしばらくお待ちください!そのときにおちんちん相対性理論についても語れたらいいなぁ……
※8/17追記 挿絵追加しました!!!あと今回修正入れなきゃいけないのがムカついたので差分作っております。こちらからどうぞ↓
0817_まとめ
とりあえず挿絵の追加だけで失礼します。それではまた!
