凜華 【カット3】

【カット3】 動き出す狩人


 獲物候補となった者に対する調査は、別に配信者自身がおこなうわけではない。

 アンダーグラウンドサイトには、そうしたサポートも充実しており、そのひとつに探偵社との仲介があった。

 犯罪行為への加担となるのを理解した上で依頼を受ける悪徳探偵社だ。

 ただし、そこは腐ってもプロだ。依頼料に見合うだけの確かな働きをしてくれる。

 そういう意味では用心深い狩人は、素人である視聴者が集めてくる不確かな情報よりも、プロが責任をもって調査する情報を彼は好んだ。

 当然、金を惜しまず妥協もしない。しっかりと金を積んで詳細な情報を集めるように依頼するのだ。

 そして一カ月が経過すると、配信中の彼の元へと調査報告が届けられる。


「キッチリ一ヵ月、相変らずイイ仕事をしてくれる」


 何度も依頼して、すでに馴染となっている探偵社では、女性の調査員も導入して調査を実施する。

 そのひとりが学生に扮して凜華の大学に潜り込んでいた。周囲に溶け込み、凜華の友人たちへ交流を結び、着実に情報を集めてきていた。

 かなりのページ数となるファイルを受信すると、早速、スマホで内容を確認していく。


 佐貫 凛華(さぬき りんか)20歳、私立の聖ミカエル女子大に在籍する二年生。

 高等部はお嬢様学校として有名であるが、一般からの大学への入学組であり、地方の中流階級な家庭の生まれ。

 会社員の父親とパート働きの母親、年の離れた弟の四人家族。

 大学への進学するためにひとり上京し、現在は都内のアパートで一人暮らし。

 幼い頃から空手の道場へと通い、大学でも空手部に所属している。大会でも上位に名を並べる腕前で、次期主将との話もでている。

 性格はサバサバとした性格をしており、学友や部員にも慕われており交友関係も広い。

 服装にはパンツルックを好み、ショートカットの髪型と相まって男装じみて見えるが、同性志向の傾向はない模様。

 世話焼きであり、困った者を見過ごせない性格。その為、なにかと頼られる相談役でもある。

 高校時代に空手道場の年上男性と交際経験あり、性行為まで及んでおり、非処女。

 彼が進学のために地元を離れた際に恋人関係は消滅。それ以後に、交際まで及んだ関係者はなし。

 相談ごとには恋愛関連も多いようでアドバイスするものの、当人はあまり恋愛経験は豊富とは言えないのが実情。

 

 報告書には彼女の生活サイクルや行動の傾向などもまとめられており、狩人が計画を練るのに必要な情報が揃っていた。

 さらに、追加料金で学生として忍び込んだ調査員によるサポートも可能と追記があり、その商売上手さに狩人は口元を綻ばせる。

 そうして、彼の頭の中では獲物を狩る算段が次々と立てられていった。そうしているうちに口端が次第につり上がり、残忍な笑みが浮かんでいくのだった。


『出たーッ、狩人スマイル。こりゃ、次の獲物で確定だろッ』

『可能なら協力希望ッ』

『今回の子は、どれだけ耐えてみせるかなぁ、いつものように賭けようぜ』


 彼の様子から結果を予測した視聴者たちが、チャットで盛り上がりはじめた。

 つい思考にのめり込んでいた狩人も、それに気づく。


「そうだな、次の獲物は凜華で確定だ。近々、配信するから楽しみに待っててくれよ……という訳で、今夜は予定通りにコイツで愉むとしようか」


 気持ちを切り替えた彼の前にはひとりの女がいた。

 赤を基調とした室内には、SMプレイに必要な設備が所狭しと並んでいる。その一つの革張りの椅子に女は拘束されていた。

 二十代半ばだろう。裸に向かれた成熟した身体は惚れ惚れするようなプロポーションをしている。長い手脚には枷が装着されており、両腕は上げられて背もたれに括り付けられ、両脚はひざ掛けを跨ぐようにM字に開かされて固定されていた。

 豊満な乳房にはハーネスが巻き付けられて、根元から絞り上げられている。ボリュームをさらに増した双乳の先端では、硬く尖る乳首を貫く銀色のリングピアスが冷たい光を放っていた。


「うッ……うむぅ……」


 頭部は全頭マスクで覆われており、残念ながら顔立ちを確認することは出来ない。唯一、露出している口元にはボール逆を噛まされてダラダラとだらしなく唾液を垂れ流す姿は、まるで空腹な牝犬のようであった。

 その頭部の動きを制限するような肉厚の首輪から胸元へと吊るされたカードがある。それは、大手商社の社員証であり、個人情報とともに印刷された顔写真には、スーツ姿の有能そうな女の姿があった。


「おッ、おぅッ、おぉぉンッ」


 拘束されたビクンと跳ね、裸体が大きく仰け反る。無防備にさらされた股間からはモーター音が響き渡り、前後の穴を埋めるバイブレーターが蠢いているのが見える。

 肉洞をかき混ぜ、周囲に体液をまき散らす二本の淫具は、長らく女を責め立てているのだろう。

 上気した柔肌に浮かびあがった大粒の汗が、滝のように全身を濡らしていた。

 女が身を震わせるたびに、枷に繋がれた鎖がキシキシと軋む音を響かせ、獣のような呻き声が室内に木霊する。


「あの生真面目だった重役秘書さんが、今では愛液まき散らして牝犬のように喘いでいるぜ」

「ふおぉぉぉッ!?」


 手にしていた電動マッサージが、ブーンと低い音を響かせて乳房へと押し付けられた。充血した乳首へと振動を与えられた女は、さらに喘ぎ声を大きくする。

 そうして、責められ続けた女だが、次第に鼻先から甘い媚声を洩らしはじめる。そうして、さらに責めて欲しいとばかりに拘束された身体を揺すり、訴えてくるのだった。


「やれやれ、すっかり従順になっちまったな」


 気丈な女を堕とすことに悦びを感じる狩人故に、従順になってしまうと面白味を感じなくなってしまうのだ。

 そんな調教が済んで不要となった牝も、アンダーグラウンドは受け皿となってくれる。引き取られた女たちは、東北地方にある風俗店や会員制倶楽部で働かされているというのが、もっぱらの噂だった。

 目の前の女を責めながらも、狩人の心は次の獲物へと移っていた。


「凜華には長く抗ってくれて、配信を盛り上げてくれるのを期待しているよ」


 そんな狩人の言葉に視聴者はすぐに反応する。彼を称え、肯定し、次の配信に期待する言葉が画面を埋め尽くしていった。

 そうして、その夜も狩人の配信は大いに盛り上がるのだった。







AD
x
AD
x

相關作品